×

中国でも存在感を増す「美少女図鑑」

2010年9月8日 14:39
中国でも存在感を増す「美少女図鑑」

 日本で話題になった「美少女図鑑」が、北京でも発行された。初めてモデルに挑戦する少女たちのようすを、北京支局・長谷川次郎記者が取材した。

 8月末、北京市内で開催されたイベント。北京の若い女性たちの熱い視線の先にある冊子には、「美少女図鑑」という文字が。一見するとファッション誌のようだが、これは無料のフリーペーパー。登場するモデルは地元にすむ普通の女の子だ。

 2002年に新潟で創刊された「美少女図鑑」。一般人モデルと地元企業を起用する「地域密着」のアイデアが大ヒットし、札幌、千葉、茨城、熊本など日本各地で発行されている。毎回1万部から2万部がすぐに品切れになる“幻の雑誌”。そんな「美少女図鑑」が今年の夏、海を越えて北京に上陸した。

 撮影の日の朝、北京市内の美容院には、グラビア撮影に臨む劉さんの姿があった。劉さんは、北京市内の大学に通う21歳の女の子。モデルに挑戦するのは初めてだ。プロによる本格的なメークに、最初は戸惑いも見せていた劉さんだが、終了後には「興奮しています。このスタイルすごく気に入りました」と、満足したようす。

 北京美少女図鑑・創刊号のモデルは、すべて北京に住む普通の女の子。約100人の応募の中から18人が選ばれた。モデルは、学生からデザイナー、喫茶店のウェイトレス、そして教師など、バラエティーに富んでいる。雑誌のコンセプトに賛同し広告を出稿した洋服店やヘアサロンも、北京市内に限定というこだわりぶりだ。撮影は、北京オリンピックのメーン会場となった鳥の巣から、伝統的な下町のたたずまいを残す胡同(フートン)と、北京の新旧の魅力を感じさせる場所が選ばれた。

 北京市内の后海(ホウハイ)という湖の側では、劉さんの撮影が行われていた。プロカメラマンの仕事に、次第に緊張がほぐれる劉さん。趣味のダンスを生かし、カメラマンのリクエストに応えて軽快なステップを刻む。堂々のモデルぶりだ。北京での取材経験が深いカメラマンは、「彼女たちのポージングは驚くほどうまい。たぶん、日本や海外の雑誌を相当研究しているんじゃないかな。やりやすいし、ここは美人の宝庫だと思います」と語る。一方、撮影を終えた劉さんは、「とても新鮮で面白い。とても楽しかった」と、笑顔を見せていた。

 北京美少女図鑑創刊号の発行日、用意された3000部はあっという間になくなった。会場には劉さんの姿が。掲載された自分の写真を見て、「1、2、3…10枚! ああ、これも私!とてもキュート!」と、うれしそうだ。創刊号の編集長の大西さんは、北京で10年以上、日本語のフリーペーパーの編集に携わってきた。大西さんは、「今、中国は発展している段階で、どんどん新しいものが出ている状況のなか、女性の美に対する思いは強くなっている。そういう面で受け入れられると思う」と語ってくれた。

 日本を飛び出し中国でも存在感を増す「美少女図鑑」。今後は、北京以外に上海での発行も予定されている。