IAEA緊急理事会、日本との連携強化報告
福島第一原子力発電所の事故を受け、国際原子力機関(=IAEA)は21日、オーストリア・ウィーンの本部で緊急理事会を開き、日本に直接出向いた天野事務局長が日本との連携強化について報告した。
緊急理事会の冒頭では、東日本大地震の犠牲者を悼み、全員で黙とうをささげた。そして、日本を自ら訪れ、戻ったばかりの天野事務局長が、日本政府や「東京電力」の対応の状況を伝えるとともに、IAEAから派遣した専門家チームをさらに増員し、情報収集の態勢を強化したことを報告した。
天野事務局長「事態は依然として深刻で、安全確保が最も優先される課題。日本での会談で、菅首相は情報共有の最大限の透明性を約束しました」
これに対し、各国は、日本が事態を収拾しようとしている努力に対する支持と評価を表明した。一方で、日本に対して、さらなる情報開示と、国境を越える放射性物質の影響についての情報を求める声も上がった。
21日は、経産省の原子力安全・保安院から派遣された審議官が技術説明会に出席し、直接、加盟国からの質問に答えるとともに、IAEAが24時間体制で対応している「国際緊急センター」の責任者と改善点を協議した。国際社会から求められる情報の透明性と迅速な対応にいかに応えるかが課題となっている。
天野事務局長は21日の緊急理事会で、「今回の福島第一原発の事故後の対応を教訓に、80年代に作られたIAEAの緊急対応策そのものを現在の情報時代に適応するよう見直す必要性がある」との認識を示した。