【解説】マリウポリ陥落なら……「ドネツク州北部」での戦いがカギ ロシア軍勝利なら専門家「早くて冬にキーウへ」
ウクライナ南東部のマリウポリが、数日のうちに陥落するとの見立てがあります。陥落した場合、ロシア軍はどう動くのでしょうか。現代軍事戦略の専門家によると、カギになるのはドネツク州北部での戦闘で、それ次第で「2つの選択肢」があるといいます。
■残された「市民10万人」どうなる?
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「マリウポリには、まだ10万人の市民が残されているとされていると思います。キーウ近郊のブチャで起きていたことが最近、少しずつ明らかになってきていて、虐殺や性被害の話など、その凄惨さを映像や現地の話で痛感しています」
「それだけに、同じようなことが起こらないか心配してしまいますが、残された市民の方たちはどうなってしまうのでしょうか?」
高橋杉雄・防衛研究所防衛政策研究室長(現代軍事戦略)
「残念ながら明るい未来は描けないと思っています。すでに行われているような強制移送、場合によっては強制収容所への移送…。略奪は確実に行われ、現に行われているでしょう。殺害なども行われる可能性は十分にあります。非常に厳しい状況に置かれるのではないかと思います」
■陥落なら…カギは「ドネツク州北部」
有働由美子キャスター
「マリウポリ陥落となった場合、その後の展開は2つが考えられると高橋さんはおっしゃっています」
高橋室長
「ドネツク州北部でウクライナ軍が非常に強力な抵抗をしているので、それに対する包囲作戦を北部ハルキウ(ハリコフ)からの部隊と連携して行います。ドネツク州北部での戦い次第ですが、ロシア軍がある程度、勝利する形で終わった場合、2つの選択肢があります」
「1つは、ドネツク州北部の戦線を固定して、他の部隊を南部のクリミア方面に回します。ヘルソンからミコライウ方面、そしてミコライウからキーウあるいはオデーサ(オデッサ)を狙った第二次攻勢をかけるものです」
「もう1つは、ドネツク州北部を確保した後で、そのまま西に押し出すような形で攻めていくことが考えられます」