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ガザ地区から脱出…“リスト”に日本人の名前も 双方の死者1万人超 難民キャンプに空爆…なぜ

2023年11月2日 3:05

パレスチナ自治区のガザ地区と、エジプトとの境界にあるラファ検問所では、イスラエルと「ハマス」の衝突以降初めて、ガザ地区に閉じ込められていた人の一部が脱出しました。脱出が認められた人のリストには、日本人の名前もありました。

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ガザ地区とエジプトとの境界にある、ラファ検問所。11月1日、そのガザ地区側には、多くの人々の姿がありました。大きな荷物を持っている人もいます。

検問所に来たカナダ人
「私たちは(ガザ地区から)脱出するために来ました」

検問所の前に人が詰め寄ると門が開き、集まった人々が続々と、エジプト側へと向かっていきました。

ロイター通信によると、イスラエルと、イスラム組織「ハマス」、エジプトは、外国人と一部の重傷者について、ガザ地区からの脱出を認めることで合意したということです。AP通信によると、ガザ地区当局は、400人以上の外国人が脱出を許可される、と発表しています。

この日、けが人を乗せたとみられる救急車も、検問所からエジプト側へと移動していきました。10月7日に軍事衝突が発生して以来、ガザ地区に閉じ込められていた人が、エジプト側に脱出するのは初めてとみられます。

また、検問所の通過を許可された“外国人のリスト”も公開されました。日本人とみられる数人の名前もあって、その中には、ガザ地区南部で避難生活を送る「国境なき医師団」の白根麻衣子さんも含まれていました。

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今週、私たちが白根さんと連絡を取った際には、深刻な“人道危機”に陥った「ガザ地区」の現状を訴えました。

ガザ地区南部に避難 国境なき医師団・白根麻衣子さん
「どこにいても空爆、ミサイルの発射が続いている状況なので、“命が途絶えるのがすぐ隣”だなと、“命の危機”というのを感じます」

特に、危機感を抱いたというのが――。

国境なき医師団・白根麻衣子さん
「通信網をすべて切られたときには、 本当にすべてのものから遮断されて…」

ガザ地区では、現地の通信会社が10月27日から、電話やインターネットなどの通信が遮断されていたと発表。一時、連絡手段がなくなっていたのです。

国境なき医師団・白根麻衣子さん
「外から情報入ってこないし、中からの発信もまったくできない。食料の調達も、電話で確認しないと、どこで空爆あるかわからないので、そういった安全確認もできない。救急車も呼べないので、爆発が起きてけが人が出ても、病院に運べない」

「私たちが危険であることも発信できない。通信が途絶えたときに、本当に伝わらないことの恐怖を感じた」

現地の通信会社は、11月1日、再び通信が遮断されたと発表しています。

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脅かされ続ける、民間人の生活……。10月31日、ガザ地区にある“ジャバリア難民キャンプ”では、破壊された建物の上で、壁に手をつく子どもが、ひとり取り残されていました。

撮影者
「小さな女の子が屋上で動けないでいます。下りることができないでいます」

ガザ地区で最大とされる難民キャンプを、イスラエル軍が空爆したのです。

撮影者
「一区画全体が壊滅しました。負傷者と亡くなった方の捜索活動が続いています」

カメラが向かった先では、地面が大きく陥没していました。ロイター通信は、パレスチナ側の発表として、50人以上が死亡し、約150人がけがをしたと報じています。

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イスラエル軍は、難民キャンプに空爆を行ったことについて、ハマスの地下施設やトンネルを標的にしたと主張。多くの戦闘員とともに、ハマスの司令官を殺害したとしています。

ガザ地区全土に張り巡らされる、ハマスの“地下トンネル”。移動や武器の保管など、ハマスの拠点として使われているとされています。

ハマスに関する研究をしている専門家によると、市民が集まる場所の下にトンネルを作ることで、“人間を盾にしている”といいます。(※テルアビブ大学ハレル・ホレブ博士による)

一方、1日、エルサレムではガザ地区で戦死した、20歳のイスラエル軍兵士の葬儀が行われていました。イスラエル軍では、これまでに326人が死亡しています。

終わりの見えない衝突――。

双方の死者数は1万人に上り、ガザ地区には、いまも240人の人質がいるとされています。ハマス側は、“数日以内に外国人の人質の一部を解放する”とのメッセージを公開していますが、詳細は明らかにしていません。

(『news zero』より)