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【時系列でわかる⑥】6日更新 イスラエル軍「ガザを北と南に分断」と宣言 市街戦本格化へ

2023年11月1日 11:25
【時系列でわかる⑥】6日更新 イスラエル軍「ガザを北と南に分断」と宣言 市街戦本格化へ

10月7日、中東パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向けてロケット弾などによる激しい攻撃を開始。イスラエル側も反撃し、武力衝突が激化しています。

イスラエル軍の報道官は11月5日、ガザ市南部の部隊が海岸線に到達し、戦線を維持していると明らかにしました。その上で「いまガザは北と南がある」と述べ、分断したと主張しています。また、前日に引き続き、攻撃を数時間停止して住民に避難経路を設けると発表しました。市街戦が本格化するのを前に、人道的な配慮を示す狙いがあるとみられます。

一方、ハマスは、戦闘員がイスラエルの軍用車両を至近距離から攻撃する映像などを公開し、徹底抗戦の構えを崩していません。また、ハマスの支配下にあるガザ保健当局は、イスラエル軍が中部のマガジ難民キャンプを空爆し、少なくとも47人が死亡したと主張しています。

武力衝突をめぐる動きを、時系列でまとめます。

■10月31日 イスラエル軍、ガザ地区の難民キャンプに空爆 50人以上死亡か

イスラエル軍は31日、パレスチナ自治区ガザ地区にある難民キャンプを空爆しました。多数の民間人が犠牲になっていて少なくとも50人以上が死亡したとみられます。

空爆が行われたのはガザ地区で最大とされるジャバリア難民キャンプです。地面には巨大なクレーターができ、衝撃の大きさを物語っています。

この空爆で多くの民間人が犠牲になっていて少なくとも50人以上が死亡し、150人がケガをしたということです。病院の敷地内には多くの遺体が並べられていました。

AP通信によりますと、イスラエル軍の報道官は、難民キャンプへの空爆を認めた上で、難民キャンプの住宅の下にあるハマスの拠点を攻撃し、司令官を殺害したと主張しました。

こうした中、イスラエル軍は31日、ガザ地区内に集結する戦車部隊の映像とともに、司令官が激励する音声メッセージを新たに公開しました。

◯イスラエル軍司令官の音声メッセージ
「私たちは路地でもトンネルでも必要とされる場所ならどこでも戦う」

軍事作戦を拡大させているイスラエル軍の地上部隊はガザ市の住宅地に入りハマス側との交戦が続いている模様です。双方の死者数は9900人に上るなか、市街戦となれば、さらに多くの住民が巻き添えになる恐れがあります。

一方でハマス側は31日、数日以内に外国人の人質の一部を解放するとのメッセージを公開しましたが、詳細は明らかにしていません。

■10月31日 米議会公聴会で反戦団体 約12人逮捕 米メディア

アメリカ議会上院の公聴会にブリンケン国務長官とオースティン国防長官が出席し、議会に対し、イスラエルやウクライナへの追加軍事支援のための予算確保を求めました。ただ、ブリンケン長官の発言中にはパレスチナを支持する反戦団体が「停戦せよ」などと叫んで審議をたびたび妨害し、アメリカメディアによると約12人が逮捕されました。

■10月31日 米ブリンケン国務長官 3日にイスラエル訪問へ

アメリカのブリンケン国務長官が、今月3日にイスラエルを訪問することが明らかになりました。

アメリカ国務省は、ブリンケン国務長官が3日にイスラエルを訪問し、ネタニヤフ政権幹部と会談すると明らかにしました。人道目的の戦闘の一時停止など、イスラエル側に慎重な対応を求めるものとみられます。

一方、アメリカ国防総省は、中東地域に300人の部隊を追加配備すると発表しました。爆発物処理などの支援を行い、イスラエルには入らないとしています。

また、イランが後ろ盾となっているイエメンの武装組織「フーシ派」が、イスラエルを標的にミサイルを発射し、イスラエル軍が撃墜したことも明らかにしています。

■10月31日 イスラエルとハマス、エジプトが外国人や重傷者の脱出を認めることで合意

ロイター通信によりますと、カタールの仲介により、イスラエルとハマス、エジプトが外国人や重傷者について、ガザ地区からの脱出を認めることで合意したということです。

また中東のアルジャジーラは、ラファ検問所が先ほど開通したと報じました。

エジプト当局はこれに先立ち、重傷を負っているガザ地区の住民81人について、1日にもラファ検問所を通過させて、入国を認めると発表していました。

エジプト政府はこれまで、ガザからの避難者の受け入れに否定的でしたが、人道危機が深刻化していることなどを考慮したものとみられます。

■11月1日 日本人とその家族十数人がガザ地区から退避

イスラム組織「ハマス」とイスラエル軍の衝突が発生してから初めてパレスチナ自治区ガザ地区から外国籍を持つ人などがエジプトに脱出しました。

日本政府関係者によりますと、ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所から、日本人とその家族あわせて十数人が、エジプト側に退避したということです。ガザ地区には、これまでNGOの職員など日本人十数人が残っていました。

また、エジプトの地元メディアはこれまでに少なくとも外国籍を持つ361人やけがをした人が退避したと伝えています。ロイター通信は外交筋の話として、今後2週間のうちに外国籍を持つおよそ7500人を退避させるとしています。

また、ガザ地区の保健当局は1日、死者が8796人にのぼったと発表していて、イスラエル側とあわせて双方の死者は1万人を超えています。

こうしたなか、南米のボリビア政府はイスラエルによるガザ地区への攻撃を「残虐な行為だ」と非難し、イスラエルと国交を断絶すると発表しました。南米ではこのほか、コロンビアとチリがイスラエルから自国の大使を召還すると発表したほか、イスラエルの隣国ヨルダンも大使の召還を発表しています。

■11月2日 イスラエル軍“ガザ市を包囲” ハマス側と市街戦か

イスラエル軍は2日、パレスチナ自治区ガザ地区の中心都市であるガザ市を包囲したと表明しました。ネタニヤフ首相は、「部隊はガザ市郊外から前進している」としていて、ハマス側と市街戦が展開されているものとみられます。

AP通信などによりますと、イスラエルのネタニヤフ首相は2日、ガザ地区の地上作戦について、「部隊はすでにガザ市郊外を通過し、前進している」「作戦は大きな成果をあげている」として、進展を強調しました。

また、軍のハレビ参謀総長は「作戦は次の段階に入った」と述べ、ガザ市内で地上作戦を本格化させていることを明らかにしています。
別の軍幹部はガザ市を包囲していると表明。
「ここ数日、兵士は市内で作戦に従事している」としていて、市街地でハマス側と戦闘になっているものとみられます。

一方、ロイター通信などによりますと、イスラエル軍は2日、ガザ地区北部のジャバリアを3日連続で空爆し、難民キャンプにある避難所の学校も被害を受けたということです。学校には数千人が避難しており、運営する国連機関によりますと、少なくとも20人が死亡したということです。

また、ほかにも複数の難民キャンプが空爆を受け、国連機関は2日、過去24時間に運営する4つの避難所が被害を受けたと発表しました。

一方のイスラエル軍は、一連の空爆ではハマスの拠点を攻撃したとしており、報道官はNNNの取材に対し、市民に死傷者が出ていることを認めた上で、「実際の数には注意が必要だ」と主張しました。

■11月2日 ガザ3日連続空爆で学校も被害 少なくとも20人死亡

ロイター通信などによりますと、イスラエル軍は2日、ガザ地区北部のジャバリアを3日連続で空爆し、難民キャンプにある避難所の学校も被害を受けたということです。学校には数千人が避難しており、運営する国連機関によりますと、少なくとも20人が死亡したということです。

こうした中、アメリカのブリンケン国務長官は3日、イスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相らと会談します。ガザ地区での民間人の被害を最小限にとどめるため、具体的な措置について話し合う予定で、アメリカメディアは、ブリンケン長官が人道支援を目的とした戦闘の一時停止に合意するようイスラエルに働きかけると報じています。

■11月3日 米国務長官がイスラエル首相らと会談

イスラエルを訪問したアメリカのブリンケン国務長官は3日、ネタニヤフ首相らと会談し、人道目的での戦闘の一時停止などを協議しました。

ブリンケン国務長官はネタニヤフ首相らとの会談後、ガザ地区の民間人保護のため、戦闘の一時停止を要請したことを明らかにした上で、「準備と調整には時間がかかる」と述べ、引き続き協議する考えを示しました。ガザ地区で不足している燃料をめぐっては、南部の病院などへの輸送にめどがついたとしています。

一方、ネタニヤフ首相は会談後にテレビで演説し、「人質の返還を含まない一時的な停戦を拒否する」と述べました。240人以上とされる人質が解放されるまで一時的な停戦はないと強調しています。

また、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の最高指導者・ナスララ師が、戦闘が始まってから初めて演説し、10月7日のハマスの攻撃については関与を否定したものの、「我々はあらゆる可能性に対して備えがある」とイスラエルに警告しました。

イスラエル軍の地上作戦は3日も続き、ガザ地区の保健当局は先月7日の衝突以降、ガザ地区の死者は子ども3826人を含む9257人にのぼると発表しています。

■11月3日 ガザ地区で救急車の車列空爆…15人死亡 イスラエル軍「ハマスが使用」

パレスチナ自治区ガザ地区で3日、救急車の車列が空爆され、ガザ地区の保健当局によりますと、15人が死亡しました。イスラエル軍は「ハマスのテロリスト集団が救急車を使用していた」として、空爆を行ったことを認めました。

ロイター通信によりますと、イスラエル軍が3日、ガザ地区にあるシファ病院付近で救急車の車列を空爆しました。ガザ地区の保健当局は15人が死亡、60人がケガをしたと発表し、「救急車が南に向けて移動することは事前に、全世界に通告していた。イスラエル軍は大きな罪を犯した」と非難しています。

一方、イスラエル軍は「ハマスのテロリスト集団が救急車を使用していた」として空爆を行ったことを認め、この攻撃でハマス戦闘員を「無力化した」と主張しています。その上で、「ガザ地区のこの地域は戦闘地域だ」と述べ、民間人は南部に避難するよう呼びかけています。

こうした中、アメリカ政府高官は3日、ハマスに拘束された人質を救出するためには「かなり大規模な戦闘の一時停止が必要」との見方を示しました。また、ガザ地区から外国籍を持つ人や負傷者を脱出させるのに時間がかかった理由について、ハマス側から当初、出された脱出を求める負傷者リストにハマスの戦闘員が含まれていて、それらを除外するのに時間がかかったなどと説明しました。

■11月4日 「国境なき医師団」白根麻衣子さん無差別攻撃の即時停止と医療保護を訴え

パレスチナ自治区ガザ地区で活動を行い、1日にエジプトに退避した「国境なき医師団」の白根麻衣子さんが4日、オンラインで会見し、「一般市民が犠牲になっている」として無差別攻撃の即時停止を訴えました。

国境なき医師団・白根麻衣子さん
「昼夜問わず、空爆やミサイルの発射が私たちが避難するその瞬間まで続いていた。避難所は人であふれ、衛生状況も日々悪くなり、飲む水や食べ物なども日々不足していく」

白根さんは「国境なき医師団」の人事担当者として、ことし5月からガザ市内の事務所に派遣され、活動していました。先月7日に始まったイスラエルとハマスの衝突以降はガザ市のある北部で避難生活を送り、その後、スタッフとともにガザ地区南部に移動して、1日、ラファ検問所からエジプトに退避しました。

国境なき医師団・白根麻衣子さん
「現地スタッフは国境を渡ることができないので、彼らを置いていくということに対して複雑な気持ちがあった。さまよう市民をたくさん見た。私たちの車を追いかけて『乗せてくれ』と言われたり、『なんで行ってしまうんだ』と。本当に心が張り裂ける思いだった」

白根さんは「多くの病院や学校が空爆を受けている」と指摘した上で、「無差別な暴力でたくさんの命が失われることに大きな怒りを感じる」と述べ、無差別攻撃の即時停止と医療の保護を強く訴えました。

■11月4日 イスラエル軍のガザ地区攻撃激化か 国連運営の学校や病院を空爆

イスラム組織「ハマス」とイスラエルの軍事衝突が続くパレスチナ自治区ガザ地区で4日、避難所として使われている学校にイスラエル軍の空爆がありました。地元保健当局は、15人が死亡したと発表しています。

ロイター通信などによりますと、ガザ地区北部のジャバリアで国連が運営する学校が4日、イスラエル軍の空爆を受けました。

ここには数千人が避難民として身を寄せているということで、ガザ地区保健当局は15人が死亡し、70人がけがをしたと発表しています。

また、ガザ市の病院の入り口でも空爆があり、2人が死亡したということです。これまでのところ、これらの空爆についてイスラエル軍からの発表はありません。

こうした中、イスラエル軍はガザ地区北部での地上作戦だとする映像を、4日も公開しました。ガザ地区保健当局が4日に発表した死者の数は9488人にのぼっていて、市街戦の激化が懸念されています。

■11月4日 イスラエル軍、ガザ市街地に進軍 南部への退避を呼びかけ

イスラエルの国防相は4日、ガザ市の市街地に進軍したと明らかにした上で、改めて住民に退避を呼びかけました。

イスラエル軍が5日に公開した地上作戦の映像には、戦車や兵士らがガザ地区内の建物の間を進む様子が映されています。

地元メディアなどによりますと、イスラエルのガラント国防相は4日、ガザ地区への地上作戦をめぐり、「ガザ市を北と南の両方から攻撃しており、市街地にも進軍している」と述べました。「ガザ市にいる全員に命の危険がある」としています。

また、イスラエル軍は5日、地上作戦の開始以来、ハマス側の拠点など2500以上の標的を攻撃したと明らかにしました。

AP通信によりますと、ガザ市を含むガザ地区北部には、まだおよそ30万人が残っているとされています。

イスラエル軍はガザ地区北部の住民に対して、5日も再び南部への避難を促しましたが、ハマスが北部の住民を人間の盾として利用するために、退避を阻止しようとしたと非難しています。

一方でイスラエル軍は連日、北部や中部にある避難所の学校などへ空爆を繰り返しており、民間人の死傷者も増え続けています。

■11月5日 イスラエル軍、ガザ地区中心部へ 住民に「4時間の避難時間」

イスラエル軍は、ガザ地区の住民に4時間の避難時間を与えるとして、改めて退避を呼びかけました。今後、市街戦が本格化するとみられます。

ハマスが公開した映像で、イスラエル側の軍用車両を至近距離から攻撃し、撃退したとしています。

一方、イスラエル軍も新たな戦闘の映像を公開しました。ガザ地区の住民に対しては、4時間の避難時間を与えるとして、改めて退避を求めました。

市街戦が本格化するのを前に、人道的な配慮を示す狙いがあるとみられます。こうしたなか、ネタニヤフ政権の閣僚の1人が、5日、ラジオ番組で、ガザ地区への核使用をめぐり「選択肢のひとつ」と発言しました。

ネタニヤフ首相は、この閣僚の閣議への出席を禁じるなど、火消しに追われています。一方、イスラエル軍は、ハマスの戦闘員に襲撃された音楽祭参加者の車両を、一部外国メディアに公開しました。

音楽祭の主催者 ローラさん
「隠れる場所がなかったので、この車に戻ってきて隠れました。(車に隠れてから)10分後くらいで外から銃撃音が聞こえてきてとても恐ろしかったです。赤ちゃんなどを含めて、全ての人質が家に帰れるように、あらゆる手立てを講じないといけません」

ガザ地区内では、依然として240人が人質となっていて、安否が懸念されています。

■11月5日 米国務長官、パレスチナ自治政府アッバス議長と会談

アメリカのブリンケン国務長官は5日、ヨルダン川西岸を訪問し、パレスチナ自治政府のアッバス議長と会談しました。

ロイター通信によりますと、パレスチナ自治政府のアッバス議長は5日の会談で、ブリンケン国務長官に対し、即時停戦と人道支援の必要性を訴えました。ブリンケン長官は、パレスチナ自治政府がガザ地区の今後について中心的な役割を果たすべきだと述べたということです。

また、アメリカ国務省によりますと、ガザ地区への人道支援の提供や必要な援助を再開させる方針を伝えました。

ブリンケン長官は、その後の会見で、「戦闘の一時停止を通じて多くのことを前進させることが重要だ」と強調し、人質の解放や人道支援には戦闘の一時停止が必要との考えを改めて示しました。アラブ諸国が「即時停戦」を求めていることについては、「戦闘の一時停止を歓迎すると思う」と述べ、理解を得られるとの考えを示しました。

■11月5日 イスラエル軍「ガザを北と南に分断」と宣言 市街戦本格化へ

パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスの掃討作戦を続けるイスラエル軍は、「ガザを北と南に分断した」と明らかにしました。今後、市街戦が本格化するとみられます。

イスラエル軍の報道官は5日、ガザ市南部の部隊が海岸線に到達し、戦線を維持していると明らかにしました。その上で「いまガザは北と南がある」と述べ、分断したと主張しています。また、前日に引き続き、攻撃を数時間停止して住民に避難経路を設けると発表しました。市街戦が本格化するのを前に、人道的な配慮を示す狙いがあるとみられます。

一方、ハマスは、戦闘員がイスラエルの軍用車両を至近距離から攻撃する映像などを公開し、徹底抗戦の構えを崩していません。また、ハマスの支配下にあるガザ保健当局は、イスラエル軍が中部のマガジ難民キャンプを空爆し、少なくとも47人が死亡したと主張しています。