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ニジェールに見る日本の新支援の「カタチ」

2013年6月1日 22:04
ニジェールに見る日本の新支援の「カタチ」

 日本が強く意識している中国によるアフリカ支援。中国は今年3月、3年間で約2兆円の支援を約束し、その存在感を高めている。こうした中、アフリカ西部の国・ニジェールで人材の育成を重視した日本主導の新しい支援が始まっている。

 ニジェールは国土の大半が砂漠に覆われた世界最貧国の一つで、首都・ニアメでもインフラの整備が進んでいない。

 こうした中、中国は交通インフラの支援に力を注いでいる。中国の支援で11年に完成したある橋は、中国企業が建設。別の場所でも新たな建設作業が進む。

 工事の大半は中国企業が受注し、建設作業の中核を担うのは本国から送り込まれた労働者だが、こうした中国式の支援方法に対し、「知識や技術を地元の若い世代に伝え、残してほしい」という声も上がっている。ニジェールのマヤキ元首相は「発展のために必要なのは資金ではなく、知識や技術の蓄積」と話す。

 こうした中、日本はある取り組みを始めている。国際協力機構(JICA)の日本人スタッフが、親たちが小学校の運営に参加するシステムを提案、今では国中で採用されている。かつて、子供は貴重な労働力とされていたニジェールだが、学校の運営にかかわることで親たちの意識は大きく変化し、子供たちの「学ぶ機会」は飛躍的に増加した。国連調べによるニジェールの小学校の就学率は、2004年は約40%だったが、2012年には約79%となっている。

 ニアメ郊外の小学校の教室では、生徒の親たちが運営に参加する他、運営に足りないお金は親たちが有志で出し合っている。また、学校の設備も親や村人たちが自らの手で作っている。

 巨大な建設プロジェクトに比べると地道な支援だが、国の教育の形を大きく変えつつある。JICAの角田健一さんは「あげるばかりのところが多かったが、そこから技術的にどういうところを支援すると住民の持つ力を発揮できるのか、そういうところを支援してあげる」と話している。今後は、周辺の国々にもこうした取り組みを広げていきたいとしている。