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香港デモ拡大 事態打開への道筋立たず

2014年10月1日 18:13

 香港ではトップを選ぶ選挙を民主的に行うよう求めるデモが続いている。1日から中国の建国記念日で祝日に入り、デモの規模はさらに拡大している。現地から原田敦史記者が中継。

 香港のトラムと呼ばれる路面電車が走っている場所は、デモの影響で道路全体が完全に封鎖されている。祝日ということもあり昼過ぎから急にデモ隊の数が増え、今は道路を埋め尽くしている。これまでは学生が多かったのが、1日は社会人の姿も目立つ。

 香港では1日朝、中国の建国記念日を祝う式典が行われ、梁振英行政長官らが出席した。「人により求める政治改革の方法は異なると思うが、普通選挙がないよりはあった方がよい」-長官はこのように述べ、デモを行う民主派をけん制した上で、中国との協調を訴えた。ただ、式典が行われた会場周辺には数千人の人々が集まり、中国国旗をつけたヘリコプターに激しいブーイングを浴びせるなど、街に祝賀ムードは感じられない。

 祝日というのもあるが、デモがここまで拡大した背景には、北京の中国政府の支配下に置かれることへの香港市民の強い危機感があったと思う。

 デモ参加者「真の普通選挙を勝ちとるために来た。(中国の国会にあたる)全人代の提案は真の選挙ではない」

 中国政府が示した新たな行政長官の選挙制度では、事実上、民主派が排除される仕組み。香港の高度な自治を認める1国2制度が骨抜きにされるのではないかと危機感を持つ人もいる。

 デモに参加する1人の学生は、「指名される2、3人の候補者は腐ったオレンジと同じ。その中からマシなものを選べと言われるのは、民主的ではない」と不満をあらわにした。

 経済や観光にも影響は大きいようだが、今回のデモの収束の見通しについては、現時点では事態打開への道筋はまったく立っていない。

 香港当局は一時、武装した警官隊を動員し、催涙弾をデモ隊に打ち込み沈静化を図ろうとした。その後もデモ隊が引くことはなく、今度は警官隊をすべて撤退させる軟化姿勢を見せ、自主的な解散を呼びかけた。しかし、デモ隊の規模はますます拡大し、民主派は「永久に撤退しない」と強気の構えを見せていて、長期化する可能性も出ている。