長期化に反発 勢い衰えつつある香港デモ隊
民主的な選挙を求める香港のデモは28日で2か月になった。デモ隊は道路を再び占拠しようとして29日未明に警察と衝突したが、勢いは衰えつつあり苦しい状況に追い込まれている。高井望記者が報告する。
デモ隊2番目の拠点として道路が占拠されていた旺角(モンコック)地区では、25日から当局が強制排除を実施。2日間で159人を逮捕するなど、これまでよりも強硬な姿勢を見せた。
デモ参加者「たくさん逮捕して非常に暴力的だ。過大に警察の力を使用している」
デモ開始当初、催涙弾を使って学生らを強制排除しようとして批判を受けた当局だが、今回、住民からは「香港の警察、ベリーグッド」などと肯定的な意見が目立った。
背景にあるのはデモの長期化に対する反発で、中でも大きく声を上げたのが運輸業界だった。交通のマヒから仕事が激減、強制排除の根拠となる道路占拠の禁止命令を裁判所に申請した。
旺角地区のある宝石店では、来店客の8割を占めていた中国人観光客がデモ開始以降、ほとんど来なくなったが、強制排除で道路が開通したことによるセールを実施、壁の張り紙には「多謝政府!(政府に感謝する)、多謝警察!」(警察に感謝)と書かれていた。
地元メディアによると、旺角地区の小売店の4割が先月の売り上げを通常の半分以下に落としている。宝石店のマネジャーは「年配の人や20~30歳以上の人は、この(経済が悪い)状況を知っています。皆、デモが嫌なんです」と話す。
デモ隊のリーダーは、最大の拠点に30日に集結するよう呼びかけているが、ピーク時に比べて道路を占拠している人の数は減り、内部でも撤退論が出始めている。
世論の支持を追い風に切り崩しを進める香港政府に、対抗する有効な手段は見いだせていない。