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香港デモ 学生団体「今年、再び抗議活動」

2015年1月3日 10:11

 1997年の香港返還以来、最も大きなデモ活動となった学生らによる道路占拠運動。終結から約半月がたった去年12月末、デモを主導した学生団体「香港学生連盟(学連)」の幹部はNNNの取材に応じ、「2015年に再び抗議活動を行う」と話した。

 9月28日の開始から約2か月半続いた道路占拠運動の発端は、2017年に予定されている行政長官(首長)選挙の制度改定にあたり、中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が「各界の代表からなる指名委員会の指名が必要」と決定し、事実上民主派の立候補を排除する方針を示したことへの反発からだった。

 「住民からの一定の支持が得られれば、誰でも立候補できる仕組みの導入」を掲げた学連など民主派団体は、市民から一定の支持を得た。さらに占拠初日に警察が催涙弾などを使い、強制排除しようとしたことに反発が広がり、運動は拡大。デモ隊最大の拠点である香港政府庁舎前での集会には最大で10万人が集まったとも言われた。しかし、運動の長期化に伴い、経済活動や市民生活への影響が表面化。占拠の先の戦略を打ち出せなかったデモ隊から支持が離れ、警察の強制排除によって運動は終結した。

 学連の幹部は一連の運動を振り返り、「道路占拠運動は決して失敗ではなかった」と評価した。「これまでは香港人でも香港のこと、政治のことを真剣に考える人が少なかった。しかし、道路占拠運動を経て政治に関心を持つ人が増えた」と話した。また、2015年、抗議活動を再開する具体的な時期については「立法会(議会)で審議されるタイミング」とした。

 選挙制度の改定案は今後、立法会での審議を経て全体の3分の2以上の賛成が得られない限り導入はされない。現状、立法会の議席は3分の1以上を民主派が占めていて、香港政府は今後、切り崩しにかかる見通しだ。一方の学連側は、立法会で全人代の決定を否決に持ち込み、その後、さらに抗議活動を拡大させたいもくろみだ。道路占拠運動での反省を糧に、市民に支持を得られる形式を模索中だという。

 学連とは直接関係のない一部の市民も道路占拠運動から半月が経過した年末、繁華街で「真の普通選挙を」と叫びながら、複数回デモ行進を行っていて、警察と小競り合いに発展する場面もあった。学連幹部は道路占拠運動が終わった現時点を「民主化への始まり」と位置づけていて、民主的な選挙を求める動きは2015年も再燃しそうだ。

 ただ、学連などの民主派団体が最終的に翻意させなければならないのは香港政府ではなく、中国そのものだ。習近平国家主席は去年12月26日に梁振英行政長官と会談した際、必ず全人代の決定を基に審議を進めるように念を押した。仮に立法会で選挙制度の改定案が否決されたとしても、選挙制度は改定案よりさらに民主度の低い今の間接選挙のまま据え置かれるだけだ。抗議運動で中国指導部の高い壁を突き崩せる可能性は極めて低く、混乱だけが長引く恐れもある。