【警戒】米軍佐世保基地周辺に“違法ドローン”か…米海軍が複数確認し捜査
今年7月、長崎県佐世保市でアメリカ軍の基地周辺を違法とみられるドローンが飛行する映像を日本テレビは入手しました。国内で相次ぐ違法ドローンの飛行。違法ドローンについては各国でも対策に乗り出す中、日本のドローン対策は進んでいるのでしょうか。(報道局 調査報道班)
長崎県の佐世保港。
アメリカ海軍や海上自衛隊の艦艇が停泊。基地などの施設が多く存在します。その佐世保港のこの場所で先月、違法とみられるドローンが飛んでいるのをカメラがとらえました。
白い光を点滅させながらドローンがゆっくりと飛行していきます。
この映像が撮影されたのは先月26日の午後8時ごろ。
撮影した男性によると飛行が法律で原則禁止されている海上自衛隊やアメリカ海軍の基地周辺を飛行しているように見えたということです。
撮影した男性
『光る点滅しているものが左から右の方にいっているのが見えまして、ドローンで空撮かなんかやっているのかなと思いながら見ていました』
Q本体そのものは映っていないが、見た時にドローンだと思った?
撮影した男性
『そうですね、何度かドローンが夜間に飛んでいるところは見たことがありましたので、ヘリコプターだったら音が大きいのですぐにわかります』
■米海軍も違法とみられるドローン複数確認で捜査中
NNNの取材に対し、アメリカ海軍佐世保基地は「最近のアメリカ軍施設周辺におけるドローンの飛行について承知している。これらの飛行は無許可で日本の法律に違反していると考える」とコメント。
違法とみられるドローンの飛行が複数あったことを認めた上で、NCIS=海軍犯罪捜査局が捜査中であると明かしました。
違法な飛行があったことを認めたアメリカ軍。
隣接する海上自衛隊の基地周辺も違法に飛行された可能性がありますが。
木原防衛相
『基地警備にかかる我が方の能力が明らかになってしまう。そして基地への侵入者を利することにもつながりかねない』
こう述べた上で木原防衛相は「一つ一つに対して飛行の有無を含め、答えることは差し控える」としました。
違法とみられるドローンが撮影された翌日。海上自衛隊・佐世保基地では、一般の人たちを対象にした護衛艦の体験航海が行われましたが、ここでもドローンの飛行が目撃されました。
これは体験航海に参加した複数の人が撮影した映像。ドローンが護衛艦の周囲を旋回しています。目撃した人は。
ドローンを目撃した人
『事故等が起きないよう監視されている隊員がいまして、その方が艦長にドローンの報告をしたことでドローンの存在を知りました』
『「艦長ドローンです!」っていうふうに隊員が伝えていました』
ドローンは護衛艦の周りを3周ほど飛行したといいます。
ドローンを目撃した人
『隊員は双眼鏡などを使ってしっかりと確認していました』
『隊員がすごいピリッと緊張感がある感じだったので、その緊張感に圧迫されていた感じもします』
『お客さんたちもやっぱり緊張感がありました』
海上自衛隊佐世保地方総監部は「護衛艦は基地を出港した後で法的にはドローンの飛行禁止区域ではない海域を航行していた」とした上で、「事前に操縦者から連絡はなかった」と話しています。
ドローンをめぐってはことし3月、海上自衛隊の護衛艦「いずも」を違法に撮影したとみられる動画が中国の動画共有サイトに投稿されました。
いまウクライナの戦場では、市販されているドローンを改造し爆薬などを積んで攻撃に使う戦術が広まっています。
防衛省は、危害が加えられた場合日本の防衛に重大な支障が生じかねないとして対策の強化に乗り出したところでした。
違法に飛行するドローンについては各国が対応に追われています。
韓国はレーザー兵器を開発。レーザーを10秒前後照射すれば火を噴いて落下。大半のドローンは撃墜できるとしていて今年中に軍に引き渡される予定です。
今回、アメリカ海軍は基地周辺で違法とみられるドローンの飛行が複数あった事を認めましたが、これは異例ともいえる対応です。
専門家はその意図について。
慶應義塾大学SFC研究所上席所員 部谷直亮氏
『やはり(米軍に)いらだちと焦りがあったと思いますね。2017年にも当時のアメリカ太平洋軍司令官が防衛大臣に対して、米軍基地に対してドローンが飛んでくると、なんとかしてほしいと要望していたんですね。横須賀と佐世保、米海軍にとって日本における2大拠点です。有事が差し迫った場合にドローンで無力化されかねないというのは非常に大きな脅威で、米側としてドローン対処が能力的にはできなくもないと。ただ、そうした場合、日本の世論に対する影響を考えた場合、やはり日本側にちゃんとドローン対処をやってほしいと』
2024年8月13日放送『news every.』より