護衛艦「いずも」ドローン映像 “本物の可能性高い”…目的は?撮影者を名乗る人物「楽しみのため」
ドローンで撮影された映像に映っているのは、海上自衛隊の護衛艦「いずも」とみられています。実は、自衛隊の公式動画ではなく、SNSのXに投稿されたものです。本物なのかフェイクなのか、防衛省が分析した結果、9日、実際に護衛艦が撮影された可能性が高いと明らかにしました。
「この映像と同じものとみられる動画が、今年3月に中国の動画共有サイトに投稿されていたということで、なぜ撮ることができたのかなど、いろいろギモンがわいてきます」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「そうですね。そこで3つのギモンに注目します」
ギモン1. なぜ撮影気づかず?
ギモン2. どんな危険性?
ギモン3. 誰が何の目的で?
小栗委員長
「まず、なぜ気づかなかったのか。『いずも』は海上自衛隊最大の護衛艦で、横須賀基地に停泊していますが、自衛隊の基地などで許可なくドローンを飛ばすことは法律で禁止されています」
「外交・安全保障に詳しい、笹川平和財団の小原凡司さんは『航空機など大型のものが近づいてくれば、目視や音などで気づくことができるが、今回のような小型のドローンだと気づきにくい。対空レーダーも、停泊中は周辺に電波障害などを起こす可能性があるので、基本的には発していない』ということで、ドローンを想定した対策が十分ではなかった可能性を指摘しています」
藤井キャスター
「近年の戦闘では、ドローンに小型爆弾を載せると、それが武器になるという状況です。これは、攻撃のリスクすらあったと考えていいのでしょうか?」
小栗委員長
「その通りです。今回のような小型ドローンの場合、搭載される爆弾も限られますが、それでも死傷者が出るかもしれませんし、次の攻撃に備えなくてはいけないなど、基地は混乱に陥るだろうと、小原さんは話していました」
藤井キャスター
「映像から、いろいろなことを読み取ることができると思いますが、情報の漏えいリスクもあったんじゃないでしょうか?」
小栗委員長
「今回それについてはないだろう、と小原さんは言っているのですが、ただ、例えば今後、船が出る前にどんなものを搭載したのか、食料品の量がわかれば航海の期間が。そして弾薬や車両の量がわかれば作戦行動などを、推測されてしまう可能性はある、ということで、安全保障上のリスクと言えそうです」
■撮影した本人と名乗る人物に接触…撮影の目的は「楽しみのため」?
小栗委員長
「では、誰が何のために撮影したのか。私たちは、中国語で撮影した本人だと名乗る人物に接触しました。インタビューは拒否されましたが、それでも何が目的かと聞くと『楽しみのためにやった』と返答がありました」
藤井キャスター
「『楽しみのためにやった』という言葉を、そのまま信じていいのかと…。その点はどうですか?」
小栗委員長
「中国の動画共有サイトに投稿されていた動画ということで、中国政府との関わりなどについて聞いたところ、小原さんは『中国政府が積極的に指示したかどうかはわからないが、今もなお中国のサイト上に削除されずにあるということは、中国当局も、やってかまわないと考えているのではないか』と分析していました」
「防衛省は今後、基地の警備を強化していく方針です」
藤井キャスター
「映像を見ると自由に撮影しているように見えますが、カフカさん、どう見ましたか?」
シシド・カフカ(『news zero』木曜パートナー)
「技術が発展して便利になる一方で、やはり悲しいかな、悪用されるということは、どうしても起きてしまうので…。想定をしてリスク管理や、先を読んだ対策というのが必要なんだなと、改めて思いました」
(5月9日『news zero』より)