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通商交渉“大統領に一任”法案、審議入れず

2015年5月13日 11:00

 アメリカ議会上院は12日、TPP(=環太平洋経済連携協定)交渉の合意に不可欠とされる、大統領に通商交渉の権限を一任する法案の審議入りを否決した。TPP交渉の合意はますます遅れる可能性が出ている。

 アメリカ議会ではTPP交渉を加速させるため、大統領に通商交渉の権限を一任する法案が先月、提出された。オバマ大統領と野党・共和党がTPPを推進し、与党・民主党に反対論がくすぶるという異例の形で迎えた12日の上院本会議は、法案の審議入りの是非を採決した。法案への賛否を占う試金石とされた採決だったが、TPPによる国内の雇用減少などを懸念する民主党から反対が相次ぎ、審議入りは否決された。

 オバマ大統領は採決を前に、「もし我々が貿易のルールを作らなければ、中国が作ることになる」と危機感をあおり続けたが、「身内」も固められずに入り口でつまずいた形。今月中に上下両院で法案可決にこぎ着けるのは極めて困難で、今月15日からグアムで行われるTPP首席交渉官会合にも影響を与えそうだ。

 法案の審議入りには、国内雇用の保護など、民主党が求める修正を加えることが不可欠とみられ、オバマ政権と共和党は戦略の練り直しを迫られる。