世界遺産決定「明治日本の産業革命遺産」
日本が推薦する「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産への登録が決まった。日本と韓国が対立していた、一部施設で働いていた韓国人労働者の扱いについては、日本が韓国側に一定の配慮を示した。
もつれにもつれた「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録だが、日本時間5日午後10時過ぎから始まった審議では、登録がすんなり決まった。「明治日本の産業革命遺産」は20世紀の初めにかけてできた鉄鋼・造船などに関連する23の施設で、福岡・長崎・山口など8つの県にわたっている。韓国人労働者については、日本の佐藤ユネスコ大使が登録決定後のスピーチで次のように触れた。
佐藤大使「1940年代に、いくつかの施設で、意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの韓国人らがいたことについて、理解できるような措置を講じていく」
これに対して韓国側は「きょうの決定は、被害者の痛みや苦しみを忘れず、歴史の痛ましい傷を癒やす上で、重要なステップとなる」と評価した。
日本の立場表明について、岸田外相は5日夜、韓国側が求めていた「強制労働」ではないという考えを示した。
岸田外相「我が国代表の発言における『forced to work』との表現等は、強制労働を意味するものではありません」
また、「韓国政府は今回の我が国代表の発言を、日韓間の請求権の文脈において利用する意図はないと理解している」と述べ、朝鮮半島出身の労働者をめぐり、新たな財産請求権の問題は発生しないとクギを刺した。
一方、韓国の尹炳世外相は「日本は、強制労役させられた事実があったと発表した」と、韓国側の主張が通ったという認識を示している。
結果的に、互いに都合のよい解釈ができる余地を残し、日韓関係がこれ以上悪化するのを避けた政治決着で、日本としては、晴れの登録決定の場で後味の悪さが残る結果となった。