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巨大市場イランを狙え 巻き返しを図る日本

2015年12月19日 20:02
巨大市場イランを狙え 巻き返しを図る日本

 今週、IAEA(=国際原子力機関)は、イランの核兵器開発疑惑の解明を終えることを決めた。国際社会では近く経済制裁が解除されるとの見方が広がっていて、豊富な資源と人口を抱えるイランの市場に対する期待が高まっている。こうした中、NNNは現地を訪れたある日本人のグループを追った。

■活況を呈す見本市

 人でごったがえし、色とりどりの果物など物があふれ、活気ある市場-。先月、スーツ姿の日本人がイランの首都・テヘランを訪れた。彼らは自動車関連企業17社のビジネスマン。イランを初めて訪れた関西ペイント・古川秀範さんは「自動車会社や行政の方々とさらなる信頼関係を築きたい」と語った。

 まず訪れたのは自動車関連企業の見本市「国際自動車部品見本市」。世界中から約900社もの企業が出展していた。地元のイラン企業からは去年よりも熱気があるとの声が聞かれた。「外国企業が再びイランに進出しようとしていて、今年は去年と明らかに違います」

 出展数は2倍に増えたという。しかし、そこに日本企業は1社も出展していなかった。イラン企業の担当者は「日本企業が今回参加していないのは大きな問題です」と話した。古川さんは見本市の会場を見て言った。「オールチャイナだね」

■巨大市場イラン

 外国企業はなぜ今、イランへの進出を加速させようとしているのか。出展したインド企業の担当者は「市場拡大のためです。経済制裁が解除されることはビッグチャンスだと思ってますから」と話した。

 イランには核兵器の開発疑惑によって経済制裁が科されている。そのあおりで経済は低迷。外国企業も次々、撤退した。しかし、今年7月、欧米などとのあいだで歴史的な合意が結ばれ、早ければ来月にも経済制裁の解除が始まるとの見方が出ている。

 そうなれば、石油埋蔵量世界第4位で、人口約8000万人を抱える巨大市場が国際社会に開かれることになる。

 テヘランは公共の交通機関が十分ではないため、自動車が主な移動手段。夕方のラッシュを迎えると、テヘラン市内はいつも渋滞が続き、車の利用者が多いことがわかる。しかし、その自動車をめぐってある変化を目にした。

 経済制裁が解除されたら外国車の輸入が増えるとの期待から「買い控え」が起きている。自動車販売店の関係者は「車を欲しい人があえて今買わずにいます」と話した。地元の男性にどこの国の車が欲しいか聞くと、「日本だよ。いい車だから」と答えた。

■「品質」で巻き返し図る日本

 外国企業に対する期待は日本にも向けられている。JETRO(=日本貿易振興機構)が主催した企業交流会では、日本企業17社に対し、地元からは120社もの企業が参加した。

 「技術を他の国からではなく日本から欲しい」-そう語るイラン企業の担当者の熱意に、自動車部品を扱う商社「第一実業」の長澤宜幸さんも圧倒されていた。「日本製の機械が欲しいという話が非常に多い。『経済制裁解除前だからできない』と言っているんですけど、欲しいということでちょっと困っている」

 イラン企業のエネルギーを肌で感じた長澤さん。その後行われた工場の視察では、イランの今のレベルを確かめられるチャンスとあって食い入るようにチェックしていた。「エンジニアとしてのプライドがこの国には非常に感じられます」

 長澤さんは、日本の強みは品質だと語る。今後のイラン進出の可能性について、「彼らの能力が非常に高いということはわかりましたから、そこに日本が何ができるかということを、逆に僕らが考えなければならないですよね」と話した。

 経済制裁の解除に向けて、イラン市場をめぐる争いに日本はどう関わっていくのだろうか。

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