韓国LCCが“半ドア”飛行 安全性調査へ
韓国の格安航空会社(=LCC)の旅客機が、ドアが完全に閉まっていないまま飛行し、引き返していたことがわかった。韓国ではLCCのトラブルが相次いでいることから、航空当局は国内6社の安全性を調査するとしている。
ドアが完全に閉まっていない“半ドア”の状態で飛行し、途中で引き返していたことがわかったのは、韓国のLCC「ジンエアー」。乗客・乗員169人を乗せた旅客機は3日午前1時10分ごろ、フィリピンのセブ島を出発し、韓国の釜山に向かっていた。離陸から約30分後、風が流れ込む音がしたことから半ドアだと判明した。
乗客「ドアが開いて風が入ってくるから、気圧が下がって頭痛はするし、子どもたちは泣いて大騒ぎだった。前のドアが、指一本くらい隙間が開いていて、約30分後に引き返した」
半ドアとなっていたのは機体の前方左側。ドアのそばにいた乗務員が異常に気づいたという。旅客機はドアが完全に閉まっていないままセブ島に引き返し、離陸から約1時間後に着陸。引き返しを決めたときの高度は約3000メートルだった。
乗客「息切れがして、最初、今日はなんで耳が痛いんだろうと思ったが、空港でネットを検索したら、ドアが閉まってないまま運航していたと。全く話にならないよ」
乗客の中には頭痛や耳の痛みなどを訴える人もいたという。
ジンエアーの担当者に詰め寄る乗客「引き返すときも、機長は一言も言わなかった。最後までドアがきちんと閉まらなかったので、空気が漏れたんだ。飛行機が水平を保てずに揺れ続けたわけでしょう?着陸する1分前まで尾翼や機体が地面につきそうになった。もし尾翼が地面についてたらどうなったと思う?」
乗客には、半ドアについての詳しい説明はなかったという。
旅客機が半ドアのまま飛行していたトラブル。一体なぜ起きたのだろうか。
航空評論家・樋口文男元ANA機長「普通はあり得ないですね。ドアがきちんと閉められているか確認するのは、客室乗務員の常識的な作業ですから。ドアには必ずセンサーがついていて、少し浮いてしまったとか、オープンしているような場合は、必ず操縦席にもWARNINGが出ます。警報が鳴ります。センサーの場所によって感知ができなかったのか、機能そのものも悪かったのかもしれない」
ジンエアーによると、操縦席では、ドアが開いているという表示は出ていなかったという。
乗客「着陸後、前のドアを開けるときもドアが開かなかったので、前のドアの反対側を開けて出てきた。(Q:ドアが開けられなかった?)はい。開けられませんでした」
ジンエアーは、ドアに何かがはさまって隙間ができた可能性もあるとみており、当局が機体の整備状況などを調べている。
韓国のLCCでは去年12月にも、済州航空で機内の圧力を調整する装置の不具合から、急降下するトラブルがあったばかりだった。LCCでのトラブルが相次いでいるのを受け、当局は、国内LCC6社に対して安全性の一斉調査に乗り出すとしている。