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G20 共同声明採択し閉幕へ

2016年2月27日 17:17
G20 共同声明採択し閉幕へ

 世界経済の安定化策を話し合うG20(=主要20か国・地域)財務相・中央銀行総裁会議は、共同声明を採択し27日夕方に閉幕する。中国・上海から本橋和彦記者がリポート。

 世界的な株安の震源地、中国が舞台の今回のG20。最大の関心事の一つは、まさにその中国の景気だ。麻生財務相は初日の会議で、中国が具体的な経済改革のスケジュールを示すべきだと促した。

 麻生財務相「中国の経済については国内に過剰設備、過剰信用といった構造問題を抱える中で、中期的な構造改革のプランと人民元の安定策を含んだパッケージを示す必要があると指摘した」

 日本側からはこれに加えて、世界経済の先行きへの不透明感により中国をはじめとする新興国から資本の流出を防ぐための枠組みをつくることを提案し、今後、G20の作業部会で検討していくことが決まった。

 かつて中国経済をけん引した投資。しかし、行きすぎた投資のバブルがはじけ、世界経済の不安要因となっている。日本の政府関係者は内モンゴル自治区のオルドスが、その象徴の一つだと指摘する。資源価格の高騰に乗って100万都市を目指し新しい町がつくられたものの、住む人がいないゴーストタウンとなった。

 このような光景は各地にみられ、上海から200キロほど離れた浙江省・杭州市郊外のフランス風の街も、不動産価格の高騰で住む人が少なく、一時は「ゴーストタウン」になっているといわれた。しかし最近、不動産価格が一気に価格が下がったことで逆に入居者が増えているという。

 住民「(不動産価格が下がった)今がいいです。入居する人が増えてきたので」「今の生活は楽だと思います。今の不動産価格なら納得できます」

 日中経済協会上海事務所・横山達也所長「見える大きなものをつくる。そこにいろんなもの・産業が関わっていく“発展形式”から一般国民・消費者を対象にした消費経済への、今転換点のちょうど過渡期。巨大な市場という意味ではまだまだ(中国は)伸びていくと」

 専門家は、中国の構造改革成功の鍵はこれまでの投資主導の経済から国民ひとりひとりによる消費主導の経済にシフトできるかだと指摘している。

 上海の中心地では、株価が暴落した後も不動産価格は上昇し続けている。しかし地方などでは、これまで急成長のかげに隠れていた様々な課題が顕在化しつつある。G20ではこうした中国の構造改革をはじめ世界経済のリスクに対して各国がどう取り組むかが注目されていたが、経済専門の地元メディアは早くも、議論に緊迫感がなく、発表される共同声明には市場が失望するような内容しか出てこないだろうとの見方を示している。