抹茶カフェ…ウクライナでは“魚味?” 日本の抹茶アイス「こんなに美味しいの…」 ニュースだけでは分からない“リアル”③
戦禍を逃れ日本で暮らすウクライナ人女性、メルニク・ヴィクトリアさん(23)。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から2年以上が経過し、報道が減りつつある今だからこそ、リアルなウクライナを同世代の日本人に伝えたいと考えた。
リビウの大学で日本語を専攻したヴィクトリアさんは、支援団体の助けで約1年半前に来日、今は日本テレビで翻訳業務に携わる。職場の同僚でもある日本人の大学生7人が彼女を囲んだ。
■ウクライナの「出前モノ」事情 1位はピザで…
「めっちゃ、聞きたいことがあって…。日本に来て一番美味しかった食べ物はなんですか」
高杉祐奈さんの質問で、部屋の空気は一気に和んだ。高杉さんは海外にほとんど行ったことはなく、海外情勢は主にニュースを通じて知るという。
「実はウクライナで日本の文化的なものはすごく人気があります。アニメとか日本の料理はすごく人気があります。ウクライナ人はすごく寿司が好きです。出前で一番人気があるのは多分ピザ、2番目は寿司です」
意外な事実に部屋のテンションが上がる。そのうえ、ヴィクトリアさん本人が、「生魚を食べられない」という衝撃の事実が明かされ、再び大きな笑い声が上がった。和んだ空気の中で、ヴィクトリアさんはウクライナでの日本人気を物語るこんなエピソードも話してくれた。
「戦争が始まる2年くらい前に、ウクライナのカフェテリアに抹茶ラテが出ました。でも、抹茶ラテは実はあんまり美味しくなかった。多分、作り方が全然違うので、味も全然違います。ちょっと“魚味”があったりして」
一同爆笑。
そのヴィクトリアさん、日本に来て様々な食べ物に抹茶が使われているのを見て、再び興味をそそられた。最初に手にしたのは抹茶アイスクリームだったという。
「スーパーでアイスをみて、『おお面白い』と。ちょっと食べてみたら。『こんなにおいしいの!』って驚きました。全然違って、びっくりしました」
今は、日本の抹茶ラテが大好物だそうだ。更に話はウクライナグルメに及んだ。
「ウクライナ料理には、いっぱい美味しいものがあります。シルニキはカッテージチーズをかけたパンケーキですから、すごく美味しいです。ちょっとチーズケーキみたいですけど、味は違います」
「そして私がすごく好きなものは、ヴァレーニキ。ヴァレーニキは日本の餃子みたいですね。中にはいろんなタネがあります。ジャガイモとかキャベツとか…。いろんなものがあり、味がぜんぜん違うので。私はきのこのヴァレーニキがすごく好きです」
ウクライナ人と日本人との気質は違う。ヴィクトリアさんは、大雪の翌日にサラリーマンらしき人物が、高級そうなスーツと靴を身に着けたまま雪かきに精を出しているのを目にして驚いたという。
「ウクライナなら、いいスーツを着ていたら、その人はあまりそんな仕事はしたがらないと思います。でも日本の社会では高いスーツを着ていても、『ああ、今日は雪が降ったから、私の仕事です』って。多分、『社長がそう言ったから、ちゃんとやりました』って」
「すごいと思いました。ウクライナ人なら『それ(雪かき)は私の仕事ではないです。なんでやらなければいけませんか』という気持ちになるんです」
「ウクライナのことを知ってもらえれば、ウクライナ人はみんな嬉しくなる」と話すヴィクトリアさん。戦争とは直接関係はないが、ウクライナのダンスや歌などを紹介するイベントなどに注目してもらうことも、大きな励みになると考えており、ニュースでとりあげてもらうことなどは「すごく嬉しい」と話した。
*対談は日本語で行われました。発言はなるべく本人の言葉を生かしながら、一部修正を加えています。