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「生前退位」欧州では“慣習”の国も

2016年8月13日 18:53
「生前退位」欧州では“慣習”の国も

 天皇陛下が8日、「生前退位」についての意向を示唆された。日本と違い、ヨーロッパでは国王の生前退位が慣習として行われている国もある。その理由を取材した。

 オランダ中部・ブーレンにある「オランダ王室博物館」の前に人々が集まっていた。国王夫妻の写真が入ったマフラーや、国王をモデルにした人形まで作られるほど、王室は国民から愛されている。

 3年前、オランダのウィレム=アレクサンダー国王の即位式には、皇太子さまとともに雅子さまも出席された。ウィレム=アレクサンダー国王が即位したのは、母親のべアトリクス女王が75歳を迎え、「国を担う責任を新しい世代に引き継ぐべき」として、生前退位を表明したからだった。退位した女王はその後、どうしているのだろうか。

 ベアトリクス女王は退位した後、ベアトリクス王女と名前が変わった。ベアトリクス王女は退位後も、外国の王室の葬儀に出席するなどしていて、今年に入ってからも月に1回程度、公務を行っている。また、様々な団体の名誉職も務めている。

 ライデン大学・パスキア教授「オランダ憲法27条は、国王・女王がまだ存命の間に退位することについて規定しています」

 オランダでは過去にも、1948年にウィルヘルミナ女王が68歳で、1980年にユリアナ女王が71歳で生前退位していて、ベアトリクス王女の生前退位は3代続けてのことになる。70歳前後で国王が退位することが慣習となりつつあるのだ。

 また、ベルギーでも2013年、アルベール2世が79歳で生前退位。ベルギーでは2代続けてとなった。なぜヨーロッパでは生前退位が行われるのだろうか。

 ヨーロッパの王室に詳しい歴史学者・クラウニンゲン氏「社会の高齢化が進み、国王が即位する年齢が上がっています。自分の権力・責任を、若い世代に託した方がいいと考えているのではないでしょうか」「私たちはもはや、これが通常の手続きだと思っています」

 一方、年齢以外の理由で生前退位した例もある。2014年にはスペインで王室のたび重なるスキャンダルにより、カルロス国王が退位し、フェリペ6世が即位。当時、スペインでは生前退位に関する法律がなかったため、政府は退位の表明から2週間ほどで関連法を成立させた。

 自らのお気持ちを表明された天皇陛下。ヨーロッパの事例は生前退位をめぐる議論にどのような影響を与えるのだろうか。

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