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不法移民問題 メキシコとの国境沿いで何が

2016年10月21日 15:18
不法移民問題 メキシコとの国境沿いで何が

 約2週間後に迫ったアメリカ大統領選挙の争点にもなっているのが、1100万人いるとされる不法移民の問題だ。メキシコとの国境沿いでは今、何が起きているのか。

 アメリカとメキシコの国境にそびえ立つ鉄の柵。カリフォルニア州サンディエゴでは毎週末、柵越しに見つめ合う家族の姿が見られる。マルティネスさん一家もその1組。アメリカ側には父親、メキシコ側には母親と息子がいる。

 父親は10年前、仕事を求めて国境の砂漠地帯を歩き、アメリカに不法に渡った。それ以降、夫婦は柵越しに会話することしかできない。

 メキシコの国境近くには、離ればなれになった家族を支援する保護施設が数多く存在する。アメリカに不法に渡ろうとして捕まって送還された人や、アメリカに渡るタイミングを見計らっている人など事情は様々だ。

 こうした人たちの前に立ちはだかるのが、大草原を二分する高さ5メートル以上の鉄の柵。国境付近では、不法に入国する人たちを摘発するアメリカの国境警備隊が目を光らせている。

 メキシコを監視する警備隊が見つけたのは、10人ほどの集団。密入国しようとする不法移民とみられる。日本円で30万円から80万円を斡旋(あっせん)業者に支払い、先導してもらうケースが多いのだ。

 また、警備隊は無人偵察機=ドローンも導入。高性能のカメラが16キロも先の人の動きを捉える。特別に案内された操縦室では、隊員が偵察機を遠隔操作していた。別の日は、国境の柵がない山間部を歩く人たちをヘリコプターで追跡していた。

 摘発される不法移民は年間30万人に上り、去年夏から急増している。

 地上でも24時間体制で国境警備隊が見張る。隊員が草むらで探しているのは、移民らが残した「痕跡」。

 隊員「ここで誰かが横になったようだ。草が全て倒れているのが分かるだろ」

 不法移民が身を隠していた跡の可能性が高いという。

 多くの不法移民は暗くなってから密入国を試みるため、夜間も険しい山での捜索は続く。アメリカを目指す主な理由は、中南米諸国の経済や治安の悪化だが、共和党の大統領候補・トランプ氏が影響しているとも言われている。

 トランプ氏「街中にギャングがあふれている。その多くは不法移民だ」

 トランプ氏はメキシコ国境の全域に壁を建設すると断言しているため、今のうちにアメリカに渡ろうという人が増えているという。

 トランプ氏の支持者は「乗り越えられない壁が必要だ」と主張する。

 トランプ氏を支持するジョー・アルパイオ保安官「他の国から違法に人々が渡って来られない壁があって何が悪い。不法移民だけでなく、麻薬やテロリストが渡って来る可能性がある」

 実際、刑務所にいた不法移民の1人は、麻薬の運び屋として密入国し、100万円以上を手にしたという。

 「カバンに約20キロの大麻を入れて17日間、砂漠を歩いて死にかけたよ。メキシコでは1日10ドルか、それ以下しか稼げないから足りないんだ。トランプよ、お前が何をしてもオレは戻ってくるぞ」

 大統領選の争点となっている不法移民の問題。移民大国・アメリカは選択を迫られている。