オバマ政権「TPP」議会承認を断念か
ロイター通信などは11日、オバマ大統領が任期中の議会承認をめざしてきたTPP(=環太平洋経済連携協定)について、承認を断念したと報じた。TPPに強硬に反対してきた共和党・トランプ氏の勝利からわずか3日、オバマ政権が苦渋の方針転換。
ロイター通信などは11日、アメリカ政府関係者などの話として、オバマ政権がTPPの議会承認を断念したと報じた。オバマ政権は来年1月20日の任期切れ前の承認を目指して、議会への働きかけを強めていた。
しかし「就任当日にTPPを離脱する」とするトランプ氏が8日の大統領選で勝利したうえ、議会の多数を握る共和党指導部がTPP承認案の年内の提出を否定したことを受け、断念するという。TPPは来年1月のトランプ新政権のスタートを待たずに頓挫する形となり、「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙は「オバマ大統領にとって苦い敗北だ」と論評している。
オバマ大統領は来週ペルーで行われるAPEC(=アジア太平洋経済協力会議)で関係国に説明するという。TPPの発効には経済規模の最も大きなアメリカの参加が不可欠。経済・通商上の役割だけでなくアジア太平洋地域の安全保障上も重要な意味を持つだけに、承認断念となれば日本など各国には大きな衝撃となる。