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シリア攻撃“米露関係の悪化は避けられず”

2017年4月7日 14:37

 アメリカ軍は、シリアでアサド政権が化学兵器による攻撃を行った対抗措置だとして現地時間7日、シリア国内の空軍基地に向けて巡航ミサイル59発を発射し攻撃した。

 トランプ大統領が決断力の速さを見せつけた形。その一方で、シリアへの介入をためらってきたオバマ前政権との違いを際立たせたい、今回の攻撃には、そんな思惑も見え隠れする。

 トランプ大統領はアサド政権が、国連で禁止された化学兵器を使用したことは間違いないこと、また、「化学兵器の使用を防ぐことはアメリカの安全保障にとって重要だ」として攻撃の正当性を主張した。

 国防総省によると、アメリカ軍はシリアのホムス近くの空軍基地を狙い巡航ミサイルトマホーク59発を発射したという。標的となった空軍基地はアサド政権が使用したとみられる化学兵器を保管するのに使われていたという。シリア政権軍などにけが人がいるかはわかっていない。

 一方、懸念されるのはアサド政権の後ろ盾であるロシアとの関係。国防総省によるとロシアに対しては事前に攻撃の通告をしていたという。ただ、ティラーソン国務長官はシリアの化学兵器について「ロシアも加担しているか、あるいは責任を果たす能力が欠如しているかだ」と厳しく批判しており、今後の米露関係の悪化は避けられない情勢。

 今回の攻撃はシリアの内戦をさらに複雑にする可能性があり、トランプ大統領が掲げてきた過激派組織「イスラム国」の壊滅作戦にも影響をあたえる。