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被害拡大「100年で最悪」 マウイ山火事から11日…見えてきた背景【バンキシャ!】

2023年8月20日 21:47
被害拡大「100年で最悪」 マウイ山火事から11日…見えてきた背景【バンキシャ!】

ハワイ・マウイ島で発生した山火事。亡くなった人は114人にのぼります。アメリカの山火事としては、過去100年で最悪の被害。ナゼここまで被害が拡大したのか、バンキシャ!は現地を取材。見えてきた意外な要因とは──。(真相報道バンキシャ!)

     ◇

日本から乗り継ぎを経て12時間──。

バンキシャ!「マウイ島に到着しました。暑いですね。日差しが強いですが、カラッとしています」

17日、バンキシャ!が到着したのは、ハワイ州のマウイ島。8日未明に大規模な山火事が発生してから9日、被害があった地域に向かった。

──(記者)燃えたにおいがすごい。

車で走っていてもわかる焦げたにおい。街を見下ろす高台からは、ラハイナの街一帯が焼けてしまったのが分かる。家が建っていたと思われる場所には、壁と土台しか残っていなかった。街は一変してしまっていた。

突然奪われた、人々の暮らし。アメリカではここ100年で最悪の火災による被害といわれている。これまでに114人の死亡が確認され、まだ多くの人と連絡がとれていないという。(*死者数114人 / 18日時点 マウイ郡より)

バンキシャ!が出会ったのは、自宅が被害にあったという4人家族。この日、火災のあと初めて自宅を見に来たという。見せてくれたのは──。


「これが家だよ」

彼はそう言ってスマホに入った写真を見せてくれた。しかしいま、その30年以上住んでいた自宅が火事によって全焼。車も焼け、自宅近くの家も焼け落ちていた。


「避難する準備をしていたら、突然裏庭に火が飛んできて、あっという間だった」

──荷物を持ち出すことはできた?


「重要な書類だけ。夫は、家を守るために少し自宅に残っていたけど、全てなくなった」

煙で前が見えなくなる中、必死の思いで逃げたという。夫は、顔全体をおおうガスマスクのような大きなマスクを持っていた。


「このマスクのおかげで、夫は自宅に残ることができたんです」

新型コロナ対策で購入していたマスクをかぶりながら、夫は避難したという。今は家族4人で、親戚の家に身を寄せているという。

──いま望むことは何ですか?


「私たちの地域の復興を助けてほしいです。長い道のりになると思うので、一日ずつやっていくしかない。私たちは生きて逃げられたことに、とても感謝しています。私たちは必ず立ち上がります」

     ◇

18日、バンキシャが取材していると、車から同じ黄色い服を着た人たちが何人か降りてきた。メディアなのか、あるいは消防のようにも見える。声をかけてみた。

──消防隊員ですか?

「そうですよ」

──何をされているのですか?

「何が起きたのか、調査しにきたんだ。ここから火事が始まって、あっちに向かって風が吹いた。それで大火事になったんだよ」

調査をしていた場所には、小さな緑色の旗がいくつも立てられていた。旗の根元を見てみると、黒く焼け、溶けたようなものがところどころに落ちている。山火事が起きた日に、この場所で撮影された映像を見ると、電線がたれ下がり、地面が黒く焦げているのがわかる。この切れた電線が火元の可能性として指摘されているのだ。

撮影した住人
「電話線と電線が切れて、ズズズという音と火柱が出たんだ」

──その火はどう燃えた?

撮影した住人
「上にあがって広がった」

広範囲に火が燃え移り、街や住宅地などに被害をもたらした。なぜ、ここまで拡大したのか。火元と指摘されている場所を撮影した住人は次のように証言した。

撮影した住人
「ものすごい強風が吹いて、屋根がはがれてすべて飛んでいった」

体が持っていかれるほどの強い風が吹き荒れていたという。

さらに──。

撮影した住人
「風は向きを変えてこっちに吹いてきた。向こうから来る熱を感じた」

──風の向きが変わったの?

撮影した住人
「そうだ。最初はあちらから吹いたけど、次は、四方八方から風が吹いて渦まいていた」

最初は、画面左側から吹いていた風。しかし、その後、風向きが変わり、煙が撮影者の方向へと向かってきた。強い風は、渦を巻くように吹いていたという。

別の、日本人家族・浅川さんが避難する時に撮影した映像には、風にあおられた煙が空を舞う様子が記録されていた。

浅川かおりさん
「軽自動車だったら吹き飛ぶんじゃないかというくらい、ミシミシといって、家も吹き飛ぶんじゃないかっていうくらい。初めて経験した風の強さでした」

州知事によると、530℃を超える高温の炎が、時速およそ130キロで駆け抜けたという。強風が、山火事を拡大させたとみられている。

さらに19日、取材を続けていると、住民からこんな声が聞かれた。

住民
「(火事の前)とても乾燥していたよ。雨なんてほとんど降ってない。周りを見たらどこも乾燥しているのがわかるでしょう」

干ばつのエリアを示す地図を見ると、山火事発生のおよそ1か月前は、まだ緑色で示した乾燥していない場所があった。しかし、山火事が発生した日には、ほとんどの地域で乾燥の度合いが上がっていたのだ。

山火事が拡大したのは、この急激な乾燥が理由の1つと専門家は指摘する。

三重大学・生物資源学部 立花義裕教授
「激しいフラッシュ干ばつが、火災のトリガーになったと思う。急速に地面や土壌の水分が大気中に逃げていって、地面がからっからになる現象。2週間とか1か月未満で急になる」

立花教授によると、「フラッシュ干ばつ」とは、極端な空気の乾燥、暑さ、そして強風が数週間続くことで発生するものだという。山火事が広範囲に及んだ要因は、ここ1か月のマウイ島周辺の気候にあるという。

さらに取材を進めると。

──こちら、山の中腹にある草なんですけど、パリパリしてますね。とても乾燥しています。

実はこれ、アフリカ原産の「ギニアグラス」などを含む外来種の草。これも、山火事が拡大した原因とみられているのだ。

北海道大学の山田敏彦名誉教授は、次のように話す。
「(ギニアグラスは)干し草にも利用するので、よく乾いて燃えやすい」

今では、ハワイ州のおよそ4分の1をこうした外来種がしめているという。

北海道大学 山田敏彦名誉教授
「植物が乾いたまま広く島に広がっていったことから、火災の原因になったのではないか」

(8月20日放送『真相報道バンキシャ!』より)