×

英国で舞台デビューへ 渡辺謙さんの挑戦

2018年4月7日 20:08

今年の夏、ミュージカルの聖地、イギリス・ロンドンで舞台デビューする俳優の渡辺謙さん。名作「王様と私」の王様役として再び海外のステージに立つ、58歳の挑戦に迫った。

    ◇

イギリス・ロンドンのホテルに現れた渡辺謙さん。

渡辺さん「(僕は)演劇の方からスタートしたので、やっぱりイギリス、ロンドンというのはもう聖地のようなところがあるので、いよいよそこの場所で、演じることができるんだなっていう」

渡辺さんが主演するのは名作ミュージカル「王様と私」。1860年代のタイを舞台に、渡辺さん演じる王様とイギリス人の家庭教師が衝突しあいながらも互いを理解し、恋に落ちるというストーリー。渡辺さんは2015年と16年にアメリカ・ブロードウェーでこの作品の王様役で出演し、高い評価を獲得した。そして今回、ロンドンのウエストエンドでも同じ役を演じる。

「王様と私」が上演されるのはロンドン中心部にある「パラディウム劇場」。あのビートルズがデビューしたことでも知られる劇場で、客席数は2300席とロンドンの劇場でも有数の規模を誇る。オープンして100年以上という歴史ある劇場で、王室メンバーの特別席も設けられている。

英語のセリフや歌も流ちょうにこなし、表情豊かに演じる渡辺さん。

劇中の渡辺さん「君は私よりも頭を高くすべきでない。もし私が座ったら君も座り、私がひざまずけば同じようにすべきだ。その他もろもろ同様だ」

しかし本人からは、意外な言葉が――

渡辺さん「(Q:初めてオファーが来た時)冗談だろうな、と。初めて全編英語でお芝居をするというのと、初めて外国でお芝居するというのと、初めてミュージカルするのと、すべてにおいてハードルが高かったですね。ただやっぱり演劇的なハートみたいなものというのは、それは全然変わらなかったという気がするんですね」

一方、イギリスで今、大きな問題となっているのが来年3月の期限まで1年を切ったEU(=ヨーロッパ連合)からの離脱。実は、ミュージカルにも影響を及ぼすと心配されている。

専門家の調査によるとロンドンの劇場の出演者やスタッフの約半分が、EUからの移民。EUから離脱すればスタッフの確保が難しくなると懸念されている。

渡辺さん「実はとても排他的で、内向きで、それぞれの国がある意味“自国ファースト”みたいな形がこの3年間、どんどん深まっていっているような気がするんですよ。本当に今そういうことをイギリスだけじゃなくて、もちろんアメリカもそうだし、もっと言うと日本もそうだし、なんかいろんな国の人たちが、そのただ単にその垣根をなくすっていうことではなくて、自分たちと違うっていうことを認識しあうっていう、そういう大事なテーマを僕は(この作品が)含んでいると思うんですけどね」

EU離脱という歴史的な転換点にあるロンドンのミュージカル界に渡辺さんは、どのような足跡を残すことができるのか。公演は6月21日から行われる。