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工場で働く少女の夢…北で撮影の映画公開へ

2018年6月6日 13:17

アメリカと北朝鮮の会談が来週に迫る中、北朝鮮で撮影されたという映画が今月末から公開される。

映画「ワンダーランド北朝鮮」は、韓国出身の女性監督が2014年と2015年に北朝鮮を訪れて撮影したもので、小学校での英語の授業の様子や農村での生活などがドキュメント形式で描かれている。

映画製作にあたり、韓国出身のチョ・ソンヒョン監督は韓国国籍を放棄。ドイツ国籍を取得して、北朝鮮に入ったという。そこには、「ニュースで見る怖い北朝鮮ではなく、普通の市民を撮影したかった」との思いがあったという。

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映画の中では、縫製工場で働く少女に夢を聞いたり、工場長に経済制裁について質問したりする場面もある。中国を経由して、アメリカにも輸出されていると話す、工場長。

──職員は何人いますか?

工場長「400人ほどです」

工場長「輸出品も作ります」

──どの国に輸出を?

工場長「今は中国を介して輸出してます。というのも、輸出には国際的な経済制裁があるので、他国を介してます。アメリカ、カナダ、中国などに輸出しています」

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ただ、映画は北朝鮮政府の許可、そして検閲を経て製作されたもので、きれいな服装の市民の姿も目立つ。そのためドイツで公開された際には「登場するのは北朝鮮が選んだ人ばかりで、プロパガンダ(=宣伝)ではないか」との指摘もあったという。

しかし監督は、「その美しく見せようとする姿こそが北朝鮮だ」とした上で、「必ず発見があるので、自分たちの目で見つけてほしい」と言う。

チョ・ソンヒョン監督「自然体で話してもらうよう、撮影前に何度も話しました。この映画で言いたかったのは、北朝鮮の人も同じ人間なので、(政治とは)切り離して見てほしいということです」

北朝鮮の真実の姿は何なのか。どう変わっていくのか。監督は、考えるヒントを見つけてほしいと話している。

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映画「ワンダーランド北朝鮮」
6月30日 シアター・イメージフォーラムほか
全国順次公開
ユナイテッドピープル配給