“金正恩氏の娘”北朝鮮軍事パレードに登場 これまでメディアに4回登場…“後継者”の可能性は?
北朝鮮が8日夜、大規模な軍事パレードを実施し、新型の大型ミサイルを公開しました。パレードには金正恩総書記も出席し、その隣には娘「キム・ジュエ」氏とみられる姿もみられました。娘の動静が報じられるのは今回が4回目。後継者となる可能性はあるのでしょうか。
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北朝鮮の労働新聞は9日、軍事パレードの様子を報じました。朝鮮人民軍の創建75年にあたる8日、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が出席し、大規模な軍事パレードを行ったのです。
紙面に掲載された写真を見ると、赤いカーペットの上を歩く金総書記の隣には、女の子の姿がありました。手をつなぎ、仲むつまじい様子がうかがえます。金総書記の第2子・娘の「キム・ジュエ」氏とみられています。
北朝鮮メディアは「軍事パレードに、金総書記が愛するお子さまと李雪主(リ・ソルジュ)夫人と共に到着した」と報道しました。金総書記の娘の動静が報じられるのは今回が4回目ですが、軍事パレードに立ち会ったのは初めてです。
娘の動静が報じられた1回目は、2022年11月19日、新型大陸間弾道ミサイル「火星17」の発射実験を金総書記とともに見守る姿が朝鮮中央テレビで放送されました。
2回目は11月27日、「火星17」の開発に携わった科学者や兵士らとの記念撮影で、金総書記の隣に写る写真が放送されました。
3回目は、8日放送された軍の創建75年を記念する宴会の写真でした。そして9日、初めて軍事パレードに立ち会う写真が公開されたのです。
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北朝鮮が写真を立て続けに公開した狙いは、どこにあるのでしょうか。
NNNソウル支局 原田敦史記者
「これまで『キム・ジュエ』氏が公開されたのはすべて軍関連の行事で、“兵器によって国の将来を守る象徴”として、娘を全面的に立てたと考えられます。中でも軍事パレードは北朝鮮にとって最大の“国威発揚の場”ですので、ここに同席させたことには、さらに大きな意味があります。自らの家系に軍が忠誠を尽くしていることを人民に印象付け、“4世代にわたる世襲”も見据えた動きだと考えられるからです」
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金総書記が父・正日氏とともに軍事パレードに登場したのは、2010年10月。正日氏は約1年後に死去し、金総書記が最高指導者の地位を継ぎました。
では、「キム・ジュエ」氏も後継者となる可能性はあるのでしょうか。
NNNソウル支局 原田敦史記者
「金総書記には、『ジュエ』氏以外にも2人の子どもがいるとされています。これほど幼いうちから後継者を立てる必要があるのかは懐疑的な見方も多く、『ジュエ』氏がそのまま後継者になると考えるのはまだ早いと思います」
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今回の軍事パレードではICBM(=大陸間弾道ミサイル)に加えて、戦術核の運用部隊などを披露しました。さらに新型とみられる大型のミサイルも公開しました。
新型ミサイルの詳細は明らかにしていませんが、北朝鮮は「世界最強の戦略兵器が完成した」と主張しています。韓国の聯合ニュースは「固体燃料型の新型ICBM」との見方を伝えています。
今回、金総書記は演説を行わなかったとみられますが、北朝鮮メディアは「核には核で、正面対決には正面対決で」と戦う姿勢を強調しています。