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子どもへの性暴力を防ぐ スウェーデンが進める“初犯”を防ぐ取り組み

2024年6月13日 18:55
子どもへの性暴力を防ぐ スウェーデンが進める“初犯”を防ぐ取り組み

日本では、子どもと接する仕事に就く人に性犯罪歴がないか確認する制度「日本版DBS」の創設を柱とした法案について、現在、参議院で審議が行われています。こうした中、北欧スウェーデンでは、子どもへの性犯罪を未然に防ぐための取り組みが進められています。

私たちが訪れたのは、北欧スウェーデンにある大学の研究所です。

見せてくれたのは、児童ポルノの「闇サイト」です。サイトにはロリコンの文字も。カロリンスカ研究所では、警察の協力のもと、闇サイトの利用者に接触。児童ポルノ依存から脱却するプログラムを受講するよう呼びかけているのです。

闇サイト利用者
「結構です」

多くの利用者が拒否する中…

闇サイト利用者
「関心はあります。受けてみたいという気持ちもあります」

勧誘に好意的な反応もありました。

カロリンスカ研究所 クリストフさん
「彼らが性犯罪を犯すおそれのある『予備軍』だと理解する必要があります。性犯罪を犯すかもしれないと考えている人たちに手を差し伸べて、彼らが性犯罪に手を染めないようにサポートするべきです」

スウェーデンが力を入れているのが、性犯罪の“初犯”を防ぐプログラムです。オンラインでのカウンセリングを見せてもらいました。

カウンセラー
「児童ポルノを見ないようにできていますか?」

利用者
「見るのになれていて最初はつらかったです。1週間は見ないでいましたが、きのうはまた見てしまいました」

カウンセラー
「(児童ポルノを見たいという衝動と闘いながら)あなたは不安を管理する方法を見つけようとする重要なステップを踏んでいる最中なんです」

利用者
「苦しいですが、信頼できる人とこの問題(小児性愛)に向き合うことは大事なことだと思います」

カウンセリング治療を担当してきたスタッフは…

カウンセラー マリアさん
「本人が変わろうとする意欲を高めることが重要です」

しかし、専門的な精神鑑定や薬物治療などが必要な場合もあるといいます。

カウンセラー マリアさん
「子どもとの接触に強い衝動をもち、グルーミングを行うなど、ハイリスクの人々はオンライン治療では十分ではありません」

プログラムでは、小児性愛障害に苦しむ人々に必要な医療的ケアも準備されています。

闇サイトでの呼びかけを通じてプログラムを知り、受講したというアランさん。友人から薦められて、児童ポルノを見るようになり、子どもに手を出してしまうかもしれない恐怖と闘っていたといいます。

プログラム受講者 アランさん(仮名)
「何かが間違っていると感じていました。誰かを傷つけるよりも前に進むべき時だと思った。当時は孤独で考えていることも完全に行き詰まっていた。(プログラムで)自分にどんな改善があって、治療のどの段階なのかを意識することで、徐々に児童ポルノから離れることができました」

この4年間でプログラムを受講したのは約700人。半数以上が児童ポルノの閲覧をやめることができたといいます。

性犯罪を犯す前にどう手を差し伸べるか。官民一体で初犯防止の取り組みが続いています。