三菱重工にも賠償命令 韓国政府の対応は?
戦時中に強制労働をさせられたとして、いわゆる元徴用工らが三菱重工業に損害賠償を求めた2つの裁判で、韓国の最高裁判所は29日、いずれも賠償を命じる判決を言い渡した。
先月30日に日本企業への賠償命令が初めて確定して約1か月で再び同様の判決が出されたが、焦点となっている韓国政府の対応策はまだ示されていない。
原告団「勝訴できたのはみなさんのおかげ」
韓国の最高裁は三菱重工業に対し、強制動員されたとする韓国人の元徴用工5人の遺族らに総額約4000万円、さらに、女子勤労挺身(ていしん)隊として働かされたとする韓国人女性ら5人に総額約5600万円を支払うよう命じた。
日韓両国は1965年の請求権協定で賠償問題の最終的な解決を確認しているが、韓国の最高裁は、訴えは日本の植民地支配などの不法行為を前提とした慰謝料請求で、請求権協定の適用対象には含まれないと判断した。これは先月、初めて確定した新日鉄住金への賠償命令と同様の判断。
文在寅政権は、強く反発する日本政府と判決を歓迎する国内の支持層とで板挟みの状態だが、ある日本政府関係者は「韓国が対応策の取りまとめに時間をかければかけるほど、不信感が募るだけだ」と述べていて、文政権の出方が注目される。