EU離脱迷走で…英「自動車の町」の変化
EU(=ヨーロッパ連合)からの離脱まで50日を切る中、イギリスで日産自動車が発表した方針転換が大きな波紋を広げている。「自動車の町」の変化を取材した。
ロンドンから電車で3時間。“日産のふるさと”と書かれた看板のその向こうに巨大な工場があった。日産のサンダーランド工場。約7000人を雇用するなど地元経済に長年貢献し、地元の博物館にはこの工場で最初に製造されたブルーバードが誇らしげに展示されている。
しかしEU離脱の先行きが見えない中、日産は3日、この工場で予定していた新型車の生産撤回を発表した。地元では雇用への影響が懸念されている。
サンダーランド市議会・ウッド市議「本当に失望した。日産はサンダーランドにとって本当に大切な存在だ」
日産だけではない。離脱の先行きが見えないことから、企業は経営計画が立てづらく、去年のイギリスの自動車業界の投資額は前の年より半減した。離脱交渉迷走の影響が出始めている。
実は3年前の国民投票の際、サンダーランドでは6割以上の人が離脱に投票した。しかし経済への悪影響が表面化するにつれ、住民からは後悔する声も出始めているという。
ウッド市議「もう一回国民投票をやり直せば、結果がどうなるか分からない。『EUに留まった方が生活はよくなる』と考える人もいるかもしれない」
イギリスとEUは7日に首脳会談を行ったが議論は平行線に終始。いまだに先行きは不透明なままだ。
国民投票から2年と8か月。現実のものとなり始めたEU離脱のマイナスの影響はイギリス国民の心境に変化をもたらしつつある。