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米で話題“30代、40代からの早期退職”

2019年5月3日 5:32

アメリカで今、30代や40代で早期退職する人たちが話題を呼んでいる。「FIRE(ファイア)ムーブメント」と呼ばれるこの動きから、私たち日本人が学ぶこととは―?

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アメリカ・カリフォルニア州。私たちが訪ねたのは、マークさんとターニャさん夫妻。キッチンで、ゆっくりと朝食を作る2人。この日は金曜日の午前9時半。

ターニャさん「今日は仕事に行かなくていいの。今日というか、もう今後、一切ね」

実は、ターニャさんは2年前、38歳のときに夫婦で早期退職した。かつて2人は、ともに政治コンサルタントとして長時間労働が当たり前の日々を送っていた。このままでは健康に良くないと感じたことで決断をした。

ターニャさん「私たちは長年、一生懸命働いて、ほかの人たちがお金を“使った”のに対し私たちは“ためた”のです。これは『FIREムーブメント』と呼ばれています」

FIREとは、「経済的自立」と「早期退職」の英語の頭文字を略したもの。ターニャさんたちは、具体的な金額は秘密としながらも、贅沢をやめ、そのお金を投資することでおよそ40年分の生活費を確保し、収入がなくても経済的に自立して生活できるという。

今はロサンゼルスの都会生活を離れ、山の中の一軒家を購入。2匹の犬とともに、自由な生活を送っている。この日は、家から15分ほどの場所にあるスキー場へ。冬から春にかけては、週に数回はスキーにくり出す。

ターニャさん「自分たちの行動を、楽しいか、意味のあると思えるかを判断基準にして、お金について考えることなく、自分たちで決めることができるのです」

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インターネットには、FIREムーブメントの経験を綴るブログが続々と登場している。グーグルでのFIREムーブメントの検索数はここ数年で10倍以上に増え、若い世代を中心に、共感を呼んでいる。

英語教師として働くテリーさんもFIREを目指している一人。3年前、ニューヨークの郊外に築100年の家を購入した。壁には、いくつか穴もあり、自分たちで修復をしながら住んでいる。さらに家具は、できるだけ中古品やもらい物でそろえた。そして買い物にもこだわりがあり、安く買いそろえた食材で週末にまとめて作り置きをすることで、食費を抑えている。

節約したお金を投資にまわすことでこのペースで行けば、10年後には早期退職できそうだという。退職後は、今も参加する地域での菜園作りなどのボランティア活動にもっと取り組みたいと話すテリーさん。

テリーさん「早期退職ができれば、もっと多くの時間をこの地域のために使って、重要な案件を話し合う会合に参加したい」

仕事のためではなく、自分が大事だと思うもののために生きる。そんな生き方が今、アメリカで広がっている。