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アメリカ“銀行破綻”相次ぐ…バイデン大統領「預金全額を保護」と宣言のわけ 日本への影響は…

2023年3月14日 1:22
アメリカ“銀行破綻”相次ぐ…バイデン大統領「預金全額を保護」と宣言のわけ 日本への影響は…

リーマンショック以来、最大規模の銀行破綻がアメリカで相次ぎ、バイデン大統領が急きょ、「預金は全額を保護する」と演説を行いました。突然の破綻はなぜ起きたのか。そして日本への影響は…。

■リーマンショック以来、最大規模の“銀行破綻” 原因は“投資”

有働由美子キャスター
「アメリカの銀行の前に人々が落ち着かない様子で集まっていて、預けたお金のことを心配しています。リーマンショック以来、最大規模、総資産28兆円の『シリコンバレーバンク』、14兆円の『シグネチャー・バンク』という銀行の破綻がアメリカで相次ぎました」

「そして、現地時間の13日午前9時にバイデン大統領が急きょ演説して、『預金は全額を保護する』とした上で、平静を保つよう国民に呼びかけました。なぜこうなったのか、金融危機になるのか、日本にどんな影響があるのか見ていきます」

小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「突然、破綻してみんなビックリしているのが、カリフォルニアの『シリコンバレーバンク』。シリコンバレーは、数多くのベンチャー企業が密集しています。そこが拠点の銀行ですから、ベンチャー企業がお客さまです。ベンチャー企業の預金を一手に集め、預金は3年で3倍以上に増えて、総額24兆円になっていました」

有働キャスター
「これだけ見ると非常に順調に見えますが…」

小野解説委員
「実はこの銀行、集めた預金の多くを投資に回していました。有価証券を買って、運用しようとしました。ところが、急激な利上げで証券価格が下落しました。銀行はまずいと思って証券を売ったんですが損は出ています。それを見た預金者が、『この銀行大丈夫か!?』と心配になって相次ぎ預金を引き出し始めたために、銀行が経営難に陥って破綻したというわけです」

■アメリカ政府「預金は全額保護する」 素早く宣言

有働キャスター
「銀行が相次いで破綻すると、リーマンショックの二の舞で、どんどん連鎖していくんじゃないかと心配になりましたが…」

小野解説委員
「それをアメリカ政府は最も恐れました。まずは、『預金は全額保護します』と素早く宣言しました。保護されるお金は本来、日本円だと3000万円ぐらいまでと上限がありますが、『全額救済』としました。やりすぎじゃないかと思うくらいですが、こうやって安心感を与えたんです」

「さらに、政府が金融機関に1年間、お金を貸す用意もしました。そうすれば、不安になった人たちが、銀行から『われもわれも』と預金を引き出す事態が起きたとしても、銀行にお金があるので耐えられます。こうやって次々と破綻が起きないよう手を打っているわけです」

■日本への影響は…銀行不安は円高になりやすい

小野解説委員
「野村総研・エコノミストの木内登英さんに伺いました。木内さんによると『破綻したアメリカの銀行と直接の取引がないかぎり、日本の銀行やベンチャー企業に影響はないだろう』と。ただ、影響があるとすれば2つだといいます。『これをきっかけに日本でも世界でも、“銀行ってこんなに簡単に破綻するのか”という銀行不安が広がっていかないか注視する必要がある』もう1つは、『銀行不安を抱えると、リスク回避の傾向で円が買われて、円高になりやすい』とのことでした」

有働キャスター
「先ほど開いたニューヨーク証券取引所のダウ平均株価ですが、74ドルさげています。不安定な値動きが続いています。銀行破綻が経済にどう影響するかを慎重に見極めているということでしょうか。注意して見ていく必要がありそうです」

(3月13日放送『news zero』より)