なぜ… “歌姫”の偽画像拡散 背景に米大統領選? テイラー・スウィフトさんが被害にあう理由とは【#みんなのギモン】
インフルエンサーであり、若者への影響力が絶大な歌手、テイラー・スウィフトさんの偽の性的画像がSNSで拡散されました。今回の騒動に、ホワイトハウスの報道官も「憂慮すべき事態」とコメント。なぜ、テイラーさんが被害にあったのでしょうか。
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世界的な人気歌手テイラー・スウィフトさんの、偽の性的画像がSNSで拡散され騒動になっています。
日本でも大人気のテイラー・スウィフトさんは、アメリカ出身のシンガー・ソングライター。去年1年だけでも、全米チャート1位となるアルバムを3作も発表しています。アメリカ音楽界の最高の栄誉とされる「グラミー賞」を、これまでに12回受賞している世界的な人気歌手です。
実は2月に、約5年ぶりの日本公演が東京ドームにて4日間連続で行われます。いま、日本のファンもライブを前に、気持ちが盛り上がっているところです。
そんなテイラー・スウィフトさんに何が起きているのか、以下のポイントを中心に詳しく解説します。
●偽画像で混乱 検索停止に?
●偽画像 背景に米大統領選?
問題となったテイラー・スウィフトさんの偽の画像には、性的な内容が含まれていました。生成AIを使ってつくられたとみられています。
アメリカメディアによると、偽の画像は複数のアカウントから投稿され、先週、旧Twitterの「X」などのSNSで、急速に拡散しました。ある性的な偽画像の閲覧回数は、4700万回にものぼるものがあったといいます。
この事態を受け「X」は偽画像を削除し、投稿元になったアカウントも停止しました。さらに、29日までの措置として、検索画面でテイラー・スウィフトさんの名前を検索できないようにするなど、対応に追われました。
この件については、ホワイトハウスの報道官も「憂慮すべき事態だ」というコメントを出していて、バイデン政権としても問題視しています。
ホワイトハウスが「憂慮すべき事態だ」とコメントすることは、ひとりのミュージシャンとしては破格の扱いだといえますが、それはなぜなのでしょうか。もう1つのポイント「偽画像 背景に米大統領選?」に着目して解説します。
偽画像は複数のアカウントから投稿されていて、誰がどういうつもりでやったのか、現時点では判明していません。
1つの推測としては、彼女が非常に力を持ったインフルエンサーであり、若者への影響力がとても大きいだからではないか、とされています。では、その影響力はどれくらい大きいのでしょうか。
テイラーさんのSNSの登録者数やフォロワー数は、「YouTube」が5620万人、「X」が約9500万人です。「インスタグラム」に至っては「2億7000万人」のフォロワーがいるということで、日本の人口の2倍以上です。いかに世界中に浸透しているかがわかります。
ファン層も、10代の若い人たちからその親世代まで幅広く、まさに世界で最も影響力のある人物と言っていいでしょう。
いまや彼女の存在は,アメリカでは名門大学で学問の対象にもなり始めています。この春からは、アメリカの名門大学でテイラーさんのことを学ぶコースが各所で始まります。
ハーバード大学ではテイラーさんの世界観を、カリフォルニア大学バークリー校でもテイラーさんの芸術性と起業家精神を学ぶコースが開設されます。
そんな影響力がある彼女と、大統領選挙が、どう関わるのでしょうか。
11月に行われるアメリカの大統領選挙は、現在、共和党・民主党のそれぞれの候補者選びが行われています。
野党・共和党はトランプ前大統領(77)と、元国連大使のヘイリー氏(52)の一騎打ちとなっていて、トランプ氏が優勢です。このままいくと、4年前と同様にバイデン氏(81)とトランプ氏の対決になりそうな流れです。
この「高齢対決」に、テイラーさんがどう関わっているのでしょうか。
実は前回の大統領選挙を前にした2018年の中間選挙で、テイラーさんは初めて「民主党を支持している」ことをインスタグラムで公表しました。
その上で、若い世代の人々に「選挙に行きましょう」「投票に行こう」と有権者登録を呼びかけたところ、この投稿のあと4日間で、若年層による有権者登録が27万人も増えたことがあったという実績があります。
2020年の選挙でも、テイラーさんはバイデン氏を支持。トランプ氏の批判を繰り返していました。今回はどうなのでしょうか。
ニューヨークタイムズは「バイデン陣営と民主党は、テイラーさんを巻き込んだ選挙キャンペーンを練っている」と報じました。
トランプ氏への攻撃を戦略の中心に据えていると、記事では分析しています。ほかのメディア(USA TODAY)では「テイラーさんは大統領選挙をひっくり返すだけの力がある」とまで報じています。
アメリカ政治に詳しい明治大学の海野素央教授は「若者に絶大な人気があるテイラー・スウィフトさんが、いまどちらを支持しているかがはっきりするのであれば、それは攻撃の対象になりうる」と話しています。
海野教授は、テイラーさんが前回と同じく民主党を支持するならば、バイデン陣営を切り崩したいトランプ陣営か、トランプ氏を支持する何者かが、偽画像を作成して流したとしても不思議ではない、という分析です。
今後も投票日まで、彼女に限らず著名人を狙った生成AIの動画が出てくることも考え得ると話しています。
特に選挙という大きなイベントを控えているわけですから、SNSの画像や言葉が「本人のものなのかどうか」、いままで以上に気をつけなければいけません。
(2024年1月30日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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