世界的歌姫「ニセ画像」が大統領選に影響?……テイラー・スウィフトさんにバイデン陣営も期待 「5人に1人がなびく」調査も
アメリカの歌手テイラー・スウィフトさんのニセ画像が拡散され、大統領選に影響する可能性もあります。テイラーさんの発信は選挙を動かすほどの力があり、バイデン氏の陣営も期待。ディープフェイクが簡単に作れる技術が社会の扇動に使われかねない事態です。
「アメリカの歌手、テイラー・スウィフトさんのわいせつなニセ画像を巡り、大問題になっています。問題の画像は、生成AIを使ったディープフェイクとみられています」
「1月にSNSに投稿されると、拡散されて、閲覧数は4700万回に上りました。これに、アメリカの俳優協会は『怒りを覚え、脅威を感じる』、ホワイトハウスも『SNS各社は不適切な投稿に対する取り締まりが緩い』と、厳しいコメントを発しました」
「Xはニセ画像を削除し、投稿したアカウントを停止するなど対応に追われたということです」
「テイラーさん本人にとっても許せない出来事ですが、それだけではありません。あることに影響が出かねません。それが、今年のアメリカ大統領選挙です」
「テイラーさんはグラミー賞を12回受賞。インスタグラムのフォロワー数は2億7000万人です。そんなテイラーさんは2018年のアメリカの中間選挙で、『多くの思慮深い若者がこの2年間で18歳になった。まずは有権者登録をしよう』と投稿して呼びかけました」
「すると、4日間で30歳以下の27 万人が有権者登録をしました」
有働キャスター
「大統領選挙を動かすほどの影響力でしたね」
小野委員
「今年1月、有権者1500人に聞いた世論調査の結果が報告されました。『テイラーさんが支持すると言った候補者に私も投票する可能性が高い』という人が、18%もいました。5人に1人がテイラーさんについていくということです」
「その助けを借りようとしているのが、民主党のバイデン大統領の陣営です。著名人がSNSでバイデン大統領を後押ししてくれる戦略を描き、テイラーさんにも期待しています」
「そんな中でテイラーさんをおとしめるニセ画像が出回ったので、意図的なのではないか、とも思えます」
有働キャスター
「対抗馬の(人が所属する)共和党が混乱させようとして仕組んだとも考えられる、かもしれない…。何が本当なの、と怖くなりますよね」
小野委員
「専門家に聞きました。インターネットセキュリティーのトレンドマイクロの担当者は『選挙前はニセ情報が飛び交いやすい傾向にある。怖いのはディープフェイクが簡単に作れて、本物と見分けのつかない精度の高いものを作れてしまうことだ』と指摘します」
有働キャスター
「こういうことが相次いでいますが、社会を扇動するのにこうした技術も使われかねないということですよね」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「そもそも、これからの時代はネットで受け取る情報は『全てが真偽不明』という前提でいることがまず大切だと思います」
「さらに言えば、性的画像が出回ったとしてもその人の評価には関係ないと思いますし、そうした成熟した社会になっていけばいいと思います」
「その上で、テクノロジーを規制するのではなく、毀損した名誉については裁判で解決してもらうのが適切なのではないかなとも思います」
有働キャスター
「とは言え、ウソか本当か、映像や画像を見分ける方法はないのでしょうか?」
落合さん
「何度か言っていますが、これは結構難しく、この件について話し始めてからだいぶ経ちますが、状況は悪化してますよね。改善はしないし解決方法は難しく、要は、チェックするAIは普通みんな使いません。見出しだけで判断したり、どうせ見たりします」
有働キャスター
「そうすると、拡散しないくらいしか、できることはないということですね」
(1月30日『news zero』より)