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「侵攻の始まりだ」ウクライナではロシアに備え“徴兵”も…事態打開は

2022年2月24日 1:23

ウクライナではロシアによる侵攻に備え、近く「非常事態宣言」が発令される見通しで、軍は予備役の徴兵を始めました。アメリカはロシア軍の派兵指示を受け、「これはウクライナ侵攻の始まりだ」として米露外相会談の中止を表明。事態の打開は…。

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23日、東京・港区にあるロシア大使館周辺では、ウクライナに家族がいる人らがロシアに抗議の声をあげました。

家族がウクライナにいるデモ参加者
「友達と家族が向こうにいるので、ここでこれだけ(抗議活動)ができることなので」

願いは、ロシアがウクライナに侵攻しないこと。別のデモ参加者は「日本の政府と日本のみなさん、協力お願いします」と訴えていました。

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そのウクライナでは22日、東部・ルガンスク州にある火力発電所から黒煙が上がる様子が捉えられました。ウクライナメディアは「親ロシア派による攻撃だ」と伝えています。

その近くには、親ロシア派が実効支配する地域があります。その地域をロシアが“独立国家として承認”しました。その結果、ウクライナのルガンスク州とドネツク州の中に、それぞれロシアが承認した“共和国”が一方的に生まれる事態になっています。

もうひとつのドネツク州の一部をめぐっても、動きがありました。ウクライナとの国境に近いロシアの港町、タガンログには「ドネツク人民共和国」から避難してきたという人たちがいました。

「ドネツク人民共和国」から避難
「『ドネツク人民共和国』はロシアに助けられて、生活はよくなると思います」

ロシアが独立を認めたことを歓迎しながらも、軍事衝突を恐れてドネツクを脱出する動きが起きています。

ウクライナでは近く、「非常事態宣言」が発令される見通しです。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「ロシアは軍に国外の地域に出ることを許可しました。我々には犯罪にしか思えません。いろいろな国からの制裁を(ロシアに対して)もっと強くしてもらいたい」

ウクライナ軍は大統領令にのっとり、18歳から60歳までの予備役の徴兵を始めました。また、市民の銃携帯の許可に向け、議会での手続きが進められています。ロシアによる侵攻に備える動きが進んでいます。

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アメリカのバイデン大統領はロシア軍の派兵指示を受け、「これはウクライナ侵攻の始まりだ」と発言しました。

ロシアが侵攻しないことを条件に外相会談を開き、事態の打開を図りたい考えでしたが、ブリンケン国務長官は「侵攻は始まっているとみている。このタイミングでの会談には意味がない」とし、会談の中止を表明しました。すでにロシア側に書簡を送って伝えたとしています。

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一方、ロシアでは、23日は「祖国防衛の日」と呼ばれる祝日でした。その祝日に、プーチン大統領は次のように国民に語りかけました。

ロシア プーチン大統領
「私たちの国は、常に直接的かつ正直な対話を受け入れています。いくら難しい問題でも、外交的解決策を探す努力をしたい。しかし繰り返しますが、ロシアの利益と私たちの市民の安全がなによりです」

ウクライナに明確に言及しなかったものの、親ロシア派地域への派兵を正当化しているともとれる発言でした。