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指導者死亡 「イスラム国」への影響 解説

2019年10月28日 5:25

アメリカのトランプ大統領は27日、アメリカ軍の特殊作戦を受け、過激派組織「イスラム国」の指導者バグダディ容疑者が死亡したと発表した。今回の発表が「イスラム国」にどのような影響を与えるのか、カイロ支局から可児支局長が解説する。

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バグダディ容疑者は「イスラム国」のいわば“象徴”で、死亡が事実であれば、「イスラム国」にとって大きな打撃となるのは間違いない。

「イスラム国」は、シリアとイラクで支配地域を失い、壊滅状態となっている。大規模なテロも激減するなど、一時のような勢いはない。

しかし、国連の報告書では、300億円を超える活動資金を持ち、最大3万人の外国人戦闘員が生存していると推定していて、その脅威は消えていない。

さらに、シリアでは、トルコ軍が「イスラム国」と戦ったクルド人勢力を攻撃。クルド人勢力が拘束していた「イスラム国」の戦闘員が多数逃亡したという情報もある。

また、イラクでは反政府デモが拡大し、多数の死者が出るなど、政情は不安定で、こうした状況につけ込んで、「イスラム国」が再び勢力を回復する可能性も否定できない。

トランプ大統領は成果を高らかに強調したが、「イスラム国」がこのまま弱体化し、衰退していくのかは、依然、不透明だ。