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バイデン大統領、“異例”イスラエル訪問へ……衝突直後になぜ? 「人道支援の確保」交換条件か 避けたい「最悪のシナリオ」とは

2023年10月18日 8:41

パレスチナ自治区「ガザ地区」を実効支配するイスラム組織「ハマス」とイスラエルとの衝突を受け、アメリカのバイデン大統領がイスラエルを訪問します。背景にある両国の狙いや、「衝突の出口」を模索しているアメリカ側の考えを専門家に聞きました。

■周到に準備…要請から3日後に決定

有働由美子キャスター
「バイデン大統領自ら、軍事衝突の直後に当事国を訪れるのは異例ですよね?」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「そうですね。確かに、安全面でも政治的にもリスクがあります。今回訪問を決めたのは、イスラエル側から要請があった3日後で、周到に準備した上でのことでした」

■イスラエルに人道支援で譲歩させる策

「アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授は『ブリンケン国務長官がイスラエルのネタニヤフ首相と7時間にわたって協議し、バイデン大統領のイスラエル訪問と、ガザ地区の市民の安全・人道支援の確保を、バーターつまり交換条件にした』と指摘します」

有働キャスター
「バイデン大統領に来てほしいのなら、人道支援もきっちりやれよ、ということですね?」

小栗委員長
「そうです。ネタニヤフ首相としては、このタイミングでアメリカの大統領に来てもらうのは国内の求心力を高めることになるので、喉から手が出るほど欲しいカードです」

「一方、バイデン大統領としてはイスラエルの反撃は支持するが、人道上の配慮も忘れてほしくない。つまりアクセルとブレーキを同時に踏む必要がある中、ネタニヤフ首相に人道支援で譲歩させるには、これしかないと考えているようです」

■もう1つの懸案は「衝突の出口」

有働キャスター
「バイデン大統領は、パレスチナ自治政府のアッバス議長とも会う予定です。それにはどういう意味があるのでしょうか?」

小栗委員長
「バイデン大統領にとっては今回、もう 1 つの懸案があります。小谷教授は『衝突の出口をどうするかを見据えてのことだ』とみています」

「アメリカとしては、地上戦になるのは仕方ないとして、ガザ地区を実効支配しているハマスを壊滅させた後、ここを誰が統治するのか。今回衝突しているイスラエルが再び占領することは、アラブ各国の猛反発を呼ぶ最悪のシナリオなのであり得ない」

「ガザ地区の住民に共感しているヨルダン川西岸の、アッバス議長率いるパレスチナ自治政府の関与を検討するしかない、というのがアメリカの考え。これをネタニヤフ首相にはクギを刺しつつ、アッバス議長とも共有するためだ。小谷教授はこう分析しています」

有働キャスター
「そこまで視野に入れての訪問ということですね」

■非戦闘員が攻撃され…歩み寄りは?

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「屈強な軍人がお互いの非戦闘員の家族を攻撃し合っているような状況なので、非常にまずいなと思っています。停戦条件がないので、お互いかなり歩み寄りしにくいなと思うところがあります」

「その中でアメリカの狙いは、イスラエルの人道性を少しでも保持することによって、曲がりなりにも国際社会に向けて『自分たちはちゃんと紛争解決に向けてやってます』というアピールになること(だと思います)」

「イランやレバノンの(イスラム教シーア派組織)ヒズボラに対する動きもどうなるか分かりません。戦後体制の話をするにはまだ早く、油断できないのではとも思いますが、罪のないパレスチナの人々が亡くなっていくことに同情の魂を寄せています」

(10月17日『news zero』より)