なぜ、山火事が拡大? 米・加州で被害深刻
アメリカ・カリフォルニア州では、ことし、6000件以上もの山火事が発生し、深刻な被害をもたらしている。なぜ、火災が拡大するのか。そこには、対策が難しいある現象が関わっていた。
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カリフォルニア州のソノマ。ワインの一大産地として知られている。ことし10月、大規模な山火事が町を襲った。
最大の焼失面積となったソノマの山火事。住宅など370棟あまりが焼失した。
記者「『ソーダロック』とワイナリーの名前が書かれた石造りの外壁は焼け残ったが、中は、完全に焼け落ちていて、手つかずのままとなっています」
ワイナリーとしては、140年の歴史がある「ソーダロック」。多くの思い出がつまった大切な場所が、火災で失われてしまった
「ソーダロック」のオーナー ケン・ウィルソンさん「とてもつらかった。こんなに大切なものを失う気持ちをどう言い表せばいいかわからない」
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なぜ、山火事が広範囲に燃え広がるのか。その原因を探る研究が行われていた。
オレゴン州立大学のデービッド・ブランク氏が、この日に用意したのは、高さ2メートルほどに切ったスギ。カリフォルニア州と同様、十分に乾燥させた状態のもの。
記者「いま、わらの部分に火がつけられました。パチパチと音を立てながら、炎がだんだんと大きくなっています」
火は、わらからスギへと一気に燃え広がった。この実験で、ブランク氏が調べようとしたことは、何なのか。手にしたのは、スギの下に置いてあった白い布。
オレゴン州立大学 デービッド・ブランク准教授「この布には、多くの高温の火の粉が落ちてきている」
耐火性の布についた小さな焦げあとは、“火の粉”のあと。焼けた枝の先端などがはがれ落ちてできる火の粉。これらが風に乗って飛び、火災を拡大させているという。
オレゴン州立大学 デービッド・ブランク准教授「研究では、どのような環境が火の粉の発生数に影響するか調べている。今後、火の粉の数に木の種類が関係しているか調べるつもりだ」
火の粉の特徴は、炎や煙にまぎれて見えにくいこと。そのため、ブランク氏は、赤外線カメラを使って、火の粉の発生状況を観察した。映像に映る大量の光の粒は、すべて火の粉だという。
ブランク氏によると、乾燥した強い風が吹くと、一部は、10キロ以上も飛んで建物に着火する危険があるという。
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記者「今回の火災で全焼したワイナリーの周りにあるブドウ畑は焼けていません。消防は、火の粉が飛んできて、ワイナリーに火がついた可能性が高いとみています」
「ソーダロック」のオーナー ケン・ウィルソンさん「おそらく屋根のくぼみに葉っぱがあって、火の粉がついたと私は理解している」
山火事が多発するアメリカでは、火の粉に強い住宅の素材を調べる研究も進められている。危険な火の粉からどう建物を守っていくのか、大きな課題となっている。