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「平和しかほしくない」ウクライナ出身女性が語る“今” 現地の親族らは地下で避難生活

2022年3月3日 18:19
「平和しかほしくない」ウクライナ出身女性が語る“今” 現地の親族らは地下で避難生活

ロシアによるウクライナ軍事侵攻で、民間人の犠牲者が増え続けています。長崎に住むウクライナ・ハリコフ出身の女性が、今の思いを語りました。

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ウクライナ出身 小野ヤーナさん(39)
「毎日ニュースを見ているが、どこがうそ、どこが本当か分からないから、親戚に聞いて『無事か』とか『きょうはどんな感じ』とか、ほとんど毎日メールや電話で話しているが、『爆発が聞こえている』『戦車が見えた』とか。1人だけ(侵攻開始の2月24日に)メールを送ったが、まだ返事が来ていない」

ウクライナ出身の小野ヤーナさん(39)。長崎県壱岐市の中学校で去年からALT(=外国語指導助手)として英語を教えています。

ヤーナさんは、ウクライナ第二の都市・ハリコフの出身で、おじ、おばなどの親族をはじめ、友人も多く暮らしているといいます。

侵攻開始以降、通話アプリやメールで毎日のように連絡をとっていて、現地では親族らも地下鉄や、地下ごうなどに避難しているそうです。

小野ヤーナさん(39)
「もうすぐ(侵攻が)終わると祈りながら待っていて、寝るのはみんな地下。ガレージやアパートの下(地下ごうや)地下鉄とか。たまに自分の家に物を取りに帰って、お風呂に入ったりしてすぐ(地下に)戻る」

ロシアとの国境に比較的近い「ハリコフ」では、これまで双方で頻繁に行き来があったそうで、ヤーナさんは戦闘が起きていること自体が信じられないと話します。

小野ヤーナさん(39)
「私がウクライナに住んでいた時は、ビザなしでロシアに簡単に行けて、親戚もいるから毎月行った。車で1時間ぐらい。平和な時はロシアの方から買い物しに来た。ハリコフはロシア人に慣れていてあり得ない。例えば福岡と佐賀みたいに隣なのが、急に戦争始まるみたいな感じ」

ハリコフでは行政関連の建物などへの攻撃が続き、2日には警察の建物などが破壊されています。

ヤーナさんは、故郷に最後に帰った4年前には、旧ソ連の面影がなくなり、町も人も以前よりヨーロッパの影響が強くなっていたと振り返ります。

小野ヤーナさん(39)
「毎日眠れなくて、寝たくても誰かからメッセージが来たら、今どんな感じとか、まず心配する。私の故郷の町はとてもきれいで、本当に(4年前に帰った時)うれしかった。今はあり得ない。本当に残念。普通の人は平和しかほしくない」

眠れない日が続いているといいます。

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一方、長崎市に住む被爆者の末永浩さん(86)は「広島、長崎では、たくさんの人が放射能被害で今なお苦しんでいる。そんなことを繰り返してはいけないと話したし、支援もいたします。だからテレビのニュースを見ながら、非常に憂慮している」と話します。

末永さんは4年半ほど前にウクライナを訪れ、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の被災者など現地の人々と交流しました。

プーチン大統領は、核戦力を念頭にロシア軍の戦力を特別警戒態勢にするよう命じ、国際社会は警戒をさらに強めています。

長崎市の被爆者 末永浩さん(86)
「どうしても僕たち被爆者は、広島、長崎の被爆の原点がある。二度と繰り返されてはいけない。たとえ脅しに使うとしても許されない。ロシアは撤退して、ウクライナの主権を大事にしないといけない」

末永さんは、核兵器の使用や、ロシア軍が原子力発電所の占拠などで、事故も含めて放射能が放出される事態を懸念しています。