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トランプ氏「中国に聞け」は“人種差別”か

2020年5月18日 18:07
トランプ氏「中国に聞け」は“人種差別”か

■■ワシントン支局長の“気になるコトバ”■■
~~「なぜ私に対してそう言うのか?」(5月11日)~~

ワシントンで暮らしていて、“アジア系”として人種差別を受けた記憶はほぼない。新型コロナウイルスが中国などアジアで広がり始めた当初、何となく避けられている気がした時期はあったが、アメリカ国内でもウイルスが猛威を振るい始めると、それも感じなくなった。多様な人々が暮らし、リベラルな土地柄もあるだろう。

「コウモリを食べ、生鮮市場で動物を売り、ウイルスを作る強欲なろくでなし」

これは11日、人気ロック歌手がSNSで中国人を揶揄(やゆ)したコトバ。あまりに酷い。ウイルス“中国責任論”とともに「中国ヘイト」が一部で広がっている。

同じ11日、ホワイトハウスでも人種差別か、と疑われるやりとりがあった。トランプ大統領の記者会見。ある女性記者から批判的な質問を受けると、大統領は「私に聞くな、中国に聞け」と一蹴した。「チャイナ!」と語気を強めている。質問したのは中国系アメリカ人記者だった。「なぜ“私に対して”そう言うのか」と問い質すも、大統領は「不快な質問には、誰であれそう答える」として、会見を切り上げた。

この中国系アメリカ人記者は、米大手テレビ局CBSのホワイトハウス担当、ウェイジャ・ジャン記者。中国・厦門で生まれ、2歳からアメリカ・ウェストバージニア州で育ったという。有力紙・ワシントンポストは「見た目で判断するのは、大統領がよくやるパターンだ」との声を伝えている。

大統領の発言を日頃から聞いていると「反射的に口走る」ケースが多いと感じる。今回も“心の声”を反射的に口にしたのかもしれない。

トランプ大統領は翌日、「中国系アメリカ人の中国への怒りは激しい」とツイートした。わざわざ“中国系アメリカ人”の怒りに触れ、その矛先を中国に向けたのは、何か後ろめたいものがあったからだろう。
(ワシントン支局長・矢岡亮一郎)