人気の観光地・ハワイの海岸に“大量のプラスチックゴミ”
日本人にも人気の観光地ハワイである異変が起きています。ハワイの海岸に大量のプラスチックゴミが流れ着いているといいます。その中には日本から流れ着いたゴミもあり、深刻な問題になっています。
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ゴールデンウイークにも多くの日本人観光客が訪れた常夏の島、ハワイ。この青い海と白い砂浜を楽しみに、世界中から多くの人が訪れます。
「世界で最も美しい海の一つよ」
「サンゴ礁の海、すてきですよね」
しかし、この美しい海が危機に瀕しているというのです。それが、ハワイのビーチにひっきりなしに流れ着く「大量のプラスチックゴミ」です。
Sustainable Coastlines Hawaii 来迎秀紀さん
「すごくショッキングな光景。マイクロプラスチックが砂浜中、ずーっと散りばめられてて」
現地はどうなっているのか。ハワイ諸島の中心部に位置するラナイ島の、プラスチックゴミが流れ着く北東部に向かいました。
海岸を歩くと、流れ着いたプラスチックのボトルがありました。
ラナイ島で環境活動をするダニエルさん
「ペットボトルがたくさん。それにネットも。すごいきれいにしたのに…」
Sustainable Coastlines Hawaii 来迎秀紀さん
「これももう劣化がだいぶ進みはじめて、軽く触っただけでぼろぼろ崩れる」
プラスチックゴミのほか、多くの漁具やロープなども流れ着いていました。
Sustainable Coastlines Hawaii 来迎秀紀さん
「歯形ですよね。魚が食べたあととか、海洋生物がつっついたりして」
海の生態系だけでなく、誤ってプラスチックゴミを摂取した魚などを人が食べることで、健康への影響も懸念されます。
また、ゴミが流れ着く場所も、風向きなどによって様々だといいます。
5年ほど前に撮影されたモロカイ島の映像では、海面には無数のゴミが漂っていました。同じような光景はホノルルがあるオアフ島でも確認されています。
そして、漂着物の中には日本のものも少なくないといいます。
記者(ラナイ島)
「こちらのケースは日本のビールメーカーの、ビール瓶のケース。そして、こちらのケースにも日本語が書かれています」
日本を含め、世界中から流れ着くゴミ。
海洋学者 チャールズ・ムーア氏
「多くのゴミはハワイのものではなく、日本やアメリカ、中米、韓国、ベトナム、中国などから来るのです」
専門家によりますと、日本を含むアジアからのプラスチックゴミは黒潮や北太平洋海流などにより、カリフォルニアとハワイの間にある“太平洋ゴミベルト”と呼ばれる場所に集まるといいます。
「(太平洋ゴミベルトでは)傘の持ち手、TVモニター、トイレの便座など、ありとあらゆるものを見たよ」
それらが貿易風に乗ってハワイに流れ着くというのです。
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一方で、新たな形に変える取り組みも広がっています。
アップサイクルハワイ マティーさん
「短く切って、ファイバー(繊維)をほどいて」
ハワイのビーチで回収されたロープを糸状にして、リサイクルプラスチックのシートに溶かすことを何度か繰り返すと、キーホルダーやイヤリングといったアクセサリーになりました。
売れ行きは好調ということですが、気持ちは複雑だといいます。
アップサイクルハワイ マティーさん
「無駄なプラゴミが無くなり、廃業することが目標ですが、実際は増え続けています」
さらに海上でのゴミの回収も行われています。去年10月に行われたのは、太平洋ゴミベルトでの船を使った清掃活動です。主催団体は47日間かけ、およそ40トンのプラスチックゴミを回収したと発表しました。
しかし、回収されたのはほんの一部だといいます。
海洋学者 チャールズ・ムーア氏
「最初は浮いていても、その上にプランクトンや藻類が成長したりして、底に沈むことになるのです」
「太平洋ゴミベルト」には、日本の国土の4倍ほどのプラスチックゴミが浮いていて、重量はおよそ8万トンと推定されています。しかし、海底に沈んでいるものは、ここには含まれていません。
今後も増え続ければ、海のプラスチックゴミは、28年後には海にいる全ての魚の重量を超えるともみられています。
Sustainable Coastlines Hawaii 来迎秀紀さん
「拾っても拾ってもキリがない。何か月か経てば同じ状態。きれいなビーチはお家から、私生活から始めることが大事」