ペルーに中国主導の巨大な港が開港 米は軍事利用を警戒
「アメリカの裏庭」とも呼ばれる南米ペルーで中国資本主導の巨大な港が開港しました。アメリカは軍事利用を警戒していて、覇権争いが激しくなっていきそうです。
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ペルーの首都リマ。APECの開催で、街では警備態勢が強化されています。市内を走る大型バン、よく見てみると。
記者「『中国援助』と書かれていますね」
中国はバイクやバスといった車両、110台など警備の物品をペルー政府に寄贈。そして、ペルー政府は習近平国家主席を国賓として迎えました。
記者「こちらペルーの大統領府です。中国の国旗が掲揚されています。とても珍しいことだということです」
アメリカ大統領に返り咲くトランプ氏が強硬姿勢で向き合う中国ですが、いまペルーで存在感を増しています。そのワケは大規模なインフラ投資です。
リマ近郊に建てられた港には。
記者「港には多くの中国国旗が掲げられていますが、こちらにとまっている船は今週末に中国に向け出港するといいます」
中国国有の海運企業などが出資しつくられた港は、大型のコンテナ船が寄港でき、中国に向けてはこれまでより10日以上短縮され、25日ほどとなるといいます。
中国は、この港を巨大経済圏構想「一帯一路」の要衝と位置づけ、南米の中継拠点として重要視しています。
コスコ・グループ責任者「これは世界全体の利益のために南米大陸で始まった取り組みの第一段階です」
ペルーの隣国、チリをはじめ南米大陸は電気自動車などのバッテリーの原料、リチウムの一大産地。
ペルー側もこの港の開港でGDPの1.8%に相当する年間およそ7000億円の経済効果を見込んでいますが、アメリカからは中国海軍による軍事利用を懸念する声があがっています。
フロリダ国際大学 安保政策の研究員「港の60%を中国の国営企業が所有している。基地を建設するとは限らないが、数年後には中国海軍の艦船が給油のために寄港するかもしれない」
アメリカの裏庭と呼ばれる中南米で、米中の覇権争いが激しくなっていきそうです。