コロナで七面鳥が“体重制限”そのワケとは
イギリスではクリスマスムードが次第に高まっている。多くのイギリス人にとってクリスマスは1年のうち最大のイベントの1つ。しかし新型コロナウイルスの影響はここにも。
例年は家族や親せき、親しい友人達でパーティーが開かれるが、今年は少人数の集まりが増えそうだ。さらにこの時期好んで食べられる七面鳥が“体重制限”をしているという。一体どういう事なのか。
■日本でいうと正月?イギリスのクリスマス
ロンドン中心部。厳しい外出制限によりほとんどの商店や飲食店が閉まっているため、人通りはまばらだ。ただ所々でイルミネーションが設置され、美しい光の装飾はクリスマスが近づいていることを感じさせてくれる。イギリスの人々はクリスマスに家族などが集まることをとても大切にしている。毎年クリスマスの日、街は異様なほど静まりかえり、お店もほとんどが営業しない。イギリス人に「日本人はクリスマスも普通に働くよ」と言ったら、非常に驚かれたこともあった。日本でいえば元旦のようなイメージだろうか。
今年は新型ウイルスの感染拡大で色々な影響が出そうだ。今年のクリスマスをどう過ごすのか、街行く人にインタビューした。
◎女性「今年は6人程度の小さなイベントになりそうです」
◎男性「いつもより小さな七面鳥を食べる事になるでしょうね」
イギリスは今、厳しい外出制限が続いている。12月2日に解除される予定だが、その後も当面複数の家族が集まる場合には6人までというルールが適用される見通しだ。
例年より集まる人数が少なくなることから、定番料理の七面鳥も小さいサイズのものがより売れることが予想されている。
■七面鳥の成長を抑える生産者「初めての経験」
こうした中で生産者も対応に追われている。
イギリス中部の都市バーミンガム近郊で七面鳥1800羽ほどを飼育しているカルコットさんに話を聞いた。七面鳥は種類によって大きさが違い、現在1羽あたりの体重は4キロから大きいもので12キロ程度。例年に比べて1羽あたり平均して数キロ小さめになっているとのことだ。
どうやって体重を抑えるのか。この農場では七面鳥にあげるエサの配合を変えていた。七面鳥のエサは通常大豆やオーツ麦などを混ぜたものを使っているが、今年はタンパク質が少ないオーツ麦の割合を増やすことで七面鳥の成長を抑えているというのだ。
七面鳥を“あえて小さく育てる”のはもちろん初めての経験だという。また与えるタンパク質の量を少なくしすぎると肉質が落ちてしまうため微妙な調整に気を使っていると話してくれた。
■“奪われる日常”いつまで続く?
イギリスでは今年の冬の催し物のほとんどが中止となった。ロンドンの子ども達が毎年楽しみにしているきらびやかな移動遊園地は開かれず、テムズ川の上空に打ち上げられる大晦日の花火も中止が決まった。そして今1年に一度きりの楽しい時間も新型コロナウイルスによって奪われようとしている。