“罪悪感で眠れない” 生存者らが「新映像」を公開 韓国・清州の“地下トンネル冠水”事故
先月15日、豪雨により、韓国・清州で地下トンネルが冠水し14人が亡くなった事故で、生存者らが新たな映像を公開しました。
新たな映像には、緊迫した当時の状況が次のように、克明に記録されていました。
◇
地下トンネルに入っていく車……。20秒ほど走ると、突然、道路を水が覆いました。
映像を撮影した車はなんとか外に出ることはできたものの、車に向かって激しく水が押し寄せ、前方からは別の車が流されてきます。
今度は路線バスが、大きな水しぶきを上げながら進んで行きますが、流れに阻まれ、止まってしまいます。後続のトラックが、この路線バスを後ろから押すかたちで前へ進めようと試みますが……激しい水の勢いに、押し返されてしまいました。
トラック運転手
「水の流れが強くて、バスが止まってそれ以上進めなくなり、後ろから何度か押してみたんですけど、無理でした」
2台前の車の人は、サンルーフから脱出。すると今度は、濁流が目の前にいた車の屋根を越えて押し寄せ、次の瞬間、水の勢いに押された別の車が前方から乗り上げてきました。
地下トンネルを出たところで人々が脱出をはかるなか、トンネルの中では、胸まで水につかりながら避難する人々の姿が記録されていました。
瞬く間に水位が上昇し、車に向かって、泳いでくる人も確認できます。
車の上に避難すると……スマートフォンで、誰かに連絡をとろうとしているようです。
◇
この日、警察と消防には救助要請が殺到しましたが、なかには次のようなやりとりもありました。
通報者「水が氾濫して、バスと人々が閉じ込められました」
消防 「ブルートゥースを使っていますか?」
通報者「いま……」
消防 「よく聞こえません。ブルートゥースを切って、かけなおしてください」
現場の緊迫した状況は、伝わらなかったのでしょうか。
◇
この事故で、これまでに明らかになっているのは、韓国・清州の地元当局のずさんな管理態勢です。検察は、当時、現地に洪水警報が出されていたにもかかわらず、地元当局が交通規制をしなかったなどとして捜査に乗り出しています。
16日、韓国・清州で会見を開いた生存者たちは、次のように語りました。
事故の生存者
「亡くなった彼らを救えなかったから、一緒に脱出できなかったから……私たちは、罪悪感で眠れません」
生存者たちは、地元の自治体や警察のトップらを検察に告訴し、事故の再発防止を求めています。