ウクライナが“重要局面”で投入 水上ドローン「シーベビー」とは? ロシアの脅威に――800 km移動可能、費用もミサイルの10 分の 1で戦況に変化も
ウクライナの水上ドローン「シーベビー」が、ロシアへの攻撃で投入されています。小型でスピードが速く、大量の爆薬を搭載できる兵器です。費用を抑えた開発が可能で、専門家によるとロシアには脅威になっています。今後の戦況に影響を与えるのでしょうか?
■まるでボート…遠隔操作も可能な兵器
有働由美子キャスター
「ボートのような船がクルージングしているかのように見える映像があります。ウクライナ保安庁が16日に公開したもので、大量の爆薬も搭載できる兵器です。『シーベビー』と呼ばれていますが、どういったものなのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「ウクライナ側のサイトによると、シーベビーとは水上ドローンで、遠隔操作が可能です。長さは5.5メートル、最高速度は時速80キロ、移動できる距離は800kmに及びます」
有働キャスター
「800kmというと、東京から札幌ほどということですね」
小栗委員長
「かなりの距離ですよね。最近ウクライナは、この水上ドローンを重要な局面で使っています。7月17日、ロシアの補給ルートとなっているクリミア橋を、8月4日には(ロシア南部)ノボロシースクでの揚陸艦と、クリミア半島沖でのタンカーを標的にしました」
「この3つの攻撃についてシーベビーを使用したと、ウクライナ側はアメリカメディアのCNNに明らかにしています」
小栗委員長
「ノボロシースクでの攻撃で実際にシーベビーが撮影したとされる映像がありますが、ロシア海軍の揚陸艦に向かっていくのが分かります。体当たりをしたところで映像は途切れますが、ウクライナ側は火薬450キロを搭載していたとしています」
有働キャスター
「この揚陸艦にも大きな被害を与えることができるということですが…」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「このように新しい兵器がどんどん増産され、戦い方が変わってきているなと改めて思いました。まだまだ終わりが見えない中、本当にいたたまれないですが、このシーベビーが戦況にどういった影響を及ぼすのかとても気になります」
小栗委員長
「軍事に詳しい笹川平和財団上席フェローの小原凡司さんによれば、シーベビーは小型でスピードが速いことから、ロシア側からも発見されにくいものです」
「ウクライナ情勢に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授にも聞きました。シーベビーはミサイルと比べて費用が10分の1程度で、ロイター通信によると約3500万円で造ることが可能であり、クラウドファンディングで開発資金を世界中から募っているといいます」
「廣瀬教授によると、こうしたことは既にロシアにとって脅威となっています。ドローンによって安定的に攻撃ができるようになると、今後ゲームチェンジャーになる可能性もあるとしています」
有働キャスター
「一方でロシアに目を向けると、プーチン大統領は8月、ロシア製の無人機(ドローン)を増産するよう指示しました。無人機による攻防がさらに激化する恐れがあるということになります」
「その無人機で攻撃される、殺されるのは人間だということは、忘れてはならないと思います」
(8月17日『news zero』より)