停戦協議で“進展”も「首都近郊での軍事活動縮小」に不信感 首脳会談実現は…
29日、トルコで行われた停戦協議では、ロシア側は、首都キーウ近郊での軍事活動を大幅に縮小するとの方針を示しました。しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は「信用する根拠はない」と不信感をにじませました。
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29日、ウクライナ南部のミコライウで州庁舎の建物がロシア軍による攻撃を受けました。現地で撮影された映像には、突然、勢いよく立ちのぼる煙や、その直前、ロケット弾のようなものが飛んでくる様子が映っていました。
住民
「寝てすぐに爆発が起きたんです。見上げるとそこに、真っ二つに割れた壁がありました」
助け出された女性
「女の子が亡くなった。彼女を抱きしめて、その2分後にはもう…」
ウクライナ当局によると、この攻撃で少なくとも12人が死亡、33人がけがをしたということです。
ロシアの軍事侵攻開始から既に1か月以上。ミコライウが攻撃を受けた29日、トルコで行われた停戦協議では、終了後、ウクライナ代表団は初めて「一定の進展があった」との認識を示しました。
ウクライナ代表団ポドリャク大統領府顧問
「ロシア側も(ウクライナの)安全を保証する国々も合致できる点が話し合えた。そして大統領同士で会談できる条件に達しました」
ウクライナ側は、ロシア側が求めていた「中立化」に応じる条件として、アメリカなどのほかに、ロシアとの関係が良好な中国や、仲介役のトルコなどが安全を保証する新たな枠組みを提案しました。
一方、ロシア側も交渉がさらに進展すれば、最終合意に向けプーチン大統領とゼレンスキー大統領の会談が可能だとした上で──
ロシア国防省次官
「軍事力をキーウ(キエフ)とチェルニヒウ方面で大幅に削減することを決定しました」
陥落を目指していた首都キーウ近郊での軍事活動を、大幅に縮小するとの方針を示したのです。互いに妥協点を見せた今回の協議。しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は「我々を滅ぼすために戦い続ける国の代表の言葉を信用する根拠はない」と不信感をにじませました。
ポーランドに避難しているウクライナ市民も――
避難してきたウクライナ市民
「プーチンは簡単には諦めない。ロシア軍は撤退してもミサイルを撃ってくるかもしれない」
さらに、アメリカ国防総省のカービー報道官は「これは再配置であり、真の撤退ではないと考える」とし、「ウクライナの他の地域での大規模攻撃に備えるべき」と強い警戒感を示しました。
そのロシアのショイグ国防相は、「東部の解放に向け軍事力を集中させる」と発言。
ロシア・ショイグ国防相
「ウクライナの軍事的な力は大幅に低下し、主な目標である(東部)ドンバスの“解放”に焦点をあて、力を集中させることができるようになった」
既に9割の建物が被害を受けた東部の要衝マリウポリについて、アメリカのシンクタンクは「あと数日で制圧される」と分析しています。
また、協議では、クリミア問題については今後15年かけて協議するとし、事実上の棚上げとなりました。