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SNS“トランプ排除”で進む情報分断 2

2021年1月25日 14:24
SNS“トランプ排除”で進む情報分断 2

今、ツイッターなどのSNS各社が、ソーシャルメディア上からトランプ支持者らを排除する動きが相次いでいる。締め出された支持者らは別の新興SNSに流れ、異なる考え方の人たちとの関わりを持つ機会が失われていく。バイデン新大統領は「すべてのアメリカ国民の大統領となる」と訴えたが、実はその裏で、アメリカ社会の「情報の分断」はさらに深刻さを増している。(1から続く)

■会話の共通点なくなる…今後のアメリカはどうなる?

支持する政党によって、使うSNSも見るテレビも違う。こうした中で、巨大IT企業の対応はどうあるべきか。アメリカ社会はどうなっていくのか。ソーシャルメディアに詳しい、マサチューセッツ大学アマースト校のイーサン・ザッカーマン准教授に聞いた。

Q.SNSから有害情報を削除することの影響は?

「今後は、ユーチューブやフェイスブックなどで人々が危険な思想に偶然出くわすことは少なくなり、過激な極右団体などが新たにリクルーティングする機会は減るだろう。一方、一部の利用者はGabなどの別の保守系SNSや閉鎖的な暗号化されたメッセージアプリに移行している。こうした場所では、人々がどういう会話をしているか可視化できなくなるという危険性もある。また、人は似た考えを持つ人が集まる場所で深い話をすると、より過激化するということもわかっている。彼らをSNSから追放することで、危険な思想自体を排除することになるわけではなく、彼らをより危険な存在にする可能性もある」

Q.「言論の自由」の侵害との批判についてどう考える?

「アメリカの合衆国憲法修正第1条で禁じているのは、連邦政府による言論の自由の制限だ。民間企業であるフェイスブックやツイッターが自分たちのガイドラインを定め、そこから削除することに問題はないと考える。ただ、巨大IT企業が、言論に対する大きな力を持ちすぎているのではないかというのは、非常に正しい疑問だ。今、必要な対応は、IT企業を規制することではなく、多くのプラットホームをつくることだ。そしてその時に、利用者自身が内容や使い方を監視するということが必要だ。今後、自由で責任ある言論を築いていくためにはこれ以外には方法はないと思う」

Q.今後のアメリカの問題点は?

「現在、アメリカの右派と左派には、会話の共通点が少なくなっている。これは非常に大きな問題だ。アメリカ国民は、右派と左派で同じ事実について議論をしておらず、全く異なる問題や懸念について考えて生きている。SNSも右派と左派で分裂し続けることで、異なるグループの人々が遠く離れ、民主主義の中に生きることが難しくなる可能性もある。今後、アメリカの左派と右派が対話をしていく方法を見つけるには、相当の努力をする必要があるだろう」

バイデン新大統領は就任演説で、共和党と民主党、保守とリベラルなどの対立について「この無意味な戦いを終わらせなければならない」と語り、「お互いの声を聞き、見つめ合い、尊重し合おう」と呼びかけた。かつてなく「情報の分断」が広がるアメリカで、どう「団結」を実現していくのか。これからの4年間に世界が注目する。