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トランプ氏に「いやいや違いますよ」──仏大統領が“ファクトチェック” ウクライナ支援で欧州と米に「亀裂」…日本への影響は

2025年2月26日 10:18
トランプ氏に「いやいや違いますよ」──仏大統領が“ファクトチェック” ウクライナ支援で欧州と米に「亀裂」…日本への影響は

フランスのマクロン大統領が、アメリカのトランプ大統領との首脳会談で言い返す異例の場面がありました。ウクライナ支援をめぐり、ヨーロッパとアメリカの間に生じている亀裂。両者の連携が崩れるとどうなるのか。日本の外交関係者は危機感を隠しません。

■仏大統領がトランプ氏を正す場面

藤井貴彦キャスター
「3500億ドル、日本円にして約52兆円。これはロシアの侵攻後にアメリカがウクライナ側に無償で費やしたと、あくまでトランプ大統領が主張している金額です。この支援費用をめぐって24日、フランスのマクロン大統領がトランプ大統領を正す場面がありました」

トランプ大統領
「ヨーロッパはウクライナに(無償ではなく)貸している。お金を返してもらうのだ」

マクロン大統領
「いやいや違いますよ! 実際は6割を無償で渡しています。アメリカと同じように、お金を提供しています」

藤井キャスター
「マクロン大統領はトランプ大統領を手で制していましたが、何が起きていたのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「首脳同士の会見という公開の場で、相手の発言を訂正する。いわばファクトチェックをしたわけで、極めて異例のことです」

■ウクライナをめぐるトランプ氏の発言

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「もともとトランプ大統領はウクライナ支援について『アメリカは無償で払っているのにヨーロッパはお金を取り戻すのはおかしい』という趣旨の発言をしていました」

「これに対してマクロン大統領は『ヨーロッパも6割は無償で渡した』とやり返した形で、『お金を返してもらうなら侵略したロシアに言うべきだ』とも言っています」

「今回の首脳会談自体は、戦闘終結に向けてお互いに一致する場面もありましたが、ここはきっぱりと言い返した形です」

藤井キャスター
「今のトランプ大統領の勢いからすると、なかなか本人にきっぱり言える人も多くはないと思います」

■国連安保理の決議でも「亀裂」あらわ

葵わかなさん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「ウクライナの話なのに、トランプ大統領や他国の方だけで話を進めているのが少し不思議に感じたのですが、そこはどうなのでしょうか?」

小栗委員長
「まさにそこが、ウクライナのゼレンスキー大統領やヨーロッパが心配している点です。トランプ大統領がロシアのプーチン大統領の側にだけ立って話を進めていかないよう、クギを刺しています」

「こういったアメリカとヨーロッパの立場の違いが、24日の国連安全保障理事会でも表れました。『紛争の終結を求める決議』が、アメリカやロシアなどの賛成多数で採択されました」

「ただこの決議では、フランスなど5か国が棄権。『ロシアに批判的な内容が盛り込まれなかった』などが理由で、亀裂があらわになりました」

■欧州側の思い「ロシアに譲歩しすぎ」

藤井キャスター
「この亀裂は今後、どんな影響を及ぼすとみられているのでしょうか?」

小栗委員長
「国際安全保障に詳しい、慶応大学の鶴岡路人准教授に聞きました。ヨーロッパからすると、トランプ大統領は『中途半端にロシアに譲歩しすぎだ』という思いがあるといいます」

「『ウクライナの降伏であってはいけない』『ロシアに譲歩してもアメリカにメリットはない』と(ヨーロッパがアメリカに)言い続けるしかないだろう、とみています」

■日本の外交関係者、危機感あらわ

藤井キャスター
「こういったアメリカとヨーロッパの亀裂については、ひいては日本に影響があるのでしょうか?」

小栗委員長
「日本の外交関係者は『このまま欧米の亀裂が深まると、日本にとって危険なことになる』と危機感をあらわにしています。というのも、ヨーロッパは『アメリカが協調しないなら中国と握ろうという考え方になってくる』といいます」

「アメリカや日本にとって中国の軍事力は脅威ですが、この関係者は『ヨーロッパにとって中国の軍事力は、距離もあり自分ごとではない。欧米の連携が崩れると、日本にとっては相当まずいことになる』と指摘しています」

(2月25日『news zero』より)

最終更新日:2025年2月26日 10:18