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北朝鮮兵、ウクライナ侵攻の最前線に…ゼレンスキー氏「プーチンのために死ぬ理由ない」 北朝鮮国民、派遣を知らされず?

2024年12月19日 10:23
北朝鮮兵、ウクライナ侵攻の最前線に…ゼレンスキー氏「プーチンのために死ぬ理由ない」 北朝鮮国民、派遣を知らされず?

ウクライナが越境攻撃を続けるロシア西部で、北朝鮮兵とみられる男性が映っている映像が公開されました。戦闘の最前線まで北朝鮮兵が投入されているとみられます。専門家によると、ロシア軍は利用価値が高い北朝鮮兵を今後も使い、攻勢を強めるとみられます。

■ロシア西部で撮影された映像を公開

藤井貴彦キャスター
「ウクライナのゼレンスキー大統領がSNSに公開した映像では、雪が積もっていて、木に身を寄せる男性が映っています。男性は、ロシア軍が投入した北朝鮮の兵士だとしています」

「さらに、ロシア兵が死亡した北朝鮮兵の顔を焼いているような映像もあったと記しています。この動画にはどういう意味があるのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「この映像が撮影されたのは、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州です。つまり、戦闘の最前線まで北朝鮮の兵士が派遣されているとみられることがわかります」

「ゼレンスキー大統領も14日、SNSで『ロシア軍が、かなりの数の北朝鮮兵を投入し始めた』と明らかにしています」

■「軽歩兵」で占領地域奪還のてこ入れ?

小栗委員長
「アメリカ国防総省によると、これまでにロシアへ派遣された北朝鮮兵の数は約1万2000人。ロシアの軍事を研究する東京大学先端研の小泉悠准教授は『ロシア軍にとって北朝鮮兵は利用価値が高い』と指摘します」

「というのも、派遣されているとみられるのは、かなり訓練を積んでいる『軽歩兵』。主に襲撃などを行う部隊で、占領地域の奪還のてこ入れにしたいと考えているのでは、と小泉准教授はみています」

藤井キャスター
「映像で確認してもドローンに対して怖がる様子も見せないということは、新しい兵器への情報が足りないのかもしれません。どれぐらいの力を持っている部隊なのでしょうか?」

小栗委員長
「クルスク州では、北朝鮮の部隊がウクライナ兵300人以上を殺害し、占領されていた集落を奪還したと、ロシアのプーチン政権寄りのネットメディアは伝えています」

「一方でウクライナの複数のメディアによると、北朝鮮兵は装備や兵器が不足していることから戦果は限定的だったとみられるほか、北朝鮮兵が誤ってロシア部隊を攻撃して8人が死亡するなど、言葉の壁があって統率が取れていないとしています」

「またゼレンスキー大統領は、戦闘で北朝鮮兵にも多くの死傷者が出ているとして、『北朝鮮の人がプーチンのために戦って死ぬ理由は1つもない』と呼び掛けています」

■国防力を高める見返りに兵士を派遣

藤井キャスター
「前提として戦争中のため、それぞれの思惑を持って各メディアが発信していると理解しなければいけませんが、北朝鮮国内は、この現状をどう見ているのでしょうか?」

小栗委員長
「北朝鮮の政治外交が専門の慶応大学・礒﨑敦仁教授は、『北朝鮮の国民にはそもそも兵士がロシアに派遣されていることを知らせていない』と指摘します」

「北朝鮮は国防力を高める見返りに兵士を派遣していますが、国民がこの事実を知れば『息子がプーチン政権のために死ぬのは納得できない』と、さすがに内心では反発が起きるだろうと礒﨑教授はみています」

藤井キャスター
「今後はどうなるのでしょうか?」

小栗委員長
「小泉准教授は、引き続きロシアは北朝鮮兵も使って攻勢を強めるとみています。『トランプ政権が成立すると停戦圧力が強まるとロシアは考えていて、その前に占領地域を奪還しておきたいのでは』と分析しています」

篠原ともえさん(デザイナー/アーティスト『news zero』水曜パートナー)
「ゼレンスキー大統領の『北朝鮮の人がプーチンのために戦って死ぬ理由は1つもない』という言葉が戦争の理不尽さを物語っているなと感じました。つらい現実ですが、目を背けずにしっかり見ていきたいと感じました」

(12月18日『news zero』より)
最終更新日:2024年12月19日 10:23
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