妊婦から赤ちゃんに“抗体”米研究結果
世界中で感染拡大防止に取り組む中、アメリカで気になる研究結果が発表されました。妊娠中にワクチンを接種した女性から生まれた赤ちゃんを調べた結果、赤ちゃんに新型コロナウイルスの抗体が移行していることが確認されました。海外でのコロナをめぐる最新の動きです。
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■妊娠中に接種…赤ちゃんに抗体移行 アメリカ
感染者が3020万人を超え、世界最多となっているアメリカ(アメリカ感染者3026万2380人、死者54万9335人/米ジョンズ・ホプキンス大 29日午後4時時点)。
アメリカで働く日本人医師の内田舞さんは妊娠中の今年1月と2月に新型コロナウイルスのワクチンを接種し、先月、出産しました。
内田さん「私もこの子もすこぶる健康です」
内田さんは血液などを提出して赤ちゃんなどへの影響を調べる研究に参加してきましたが、その結果が明らかになりました。アメリカ産婦人科学会誌に発表された論文によりますと、ワクチンを接種した女性の母乳や、生まれた赤ちゃんから集めた10人分のへその緒すべてから抗体が確認されたということです。これは母親から赤ちゃんに抗体が移行していることを示しています。
内田さん「ワクチンを接種して作った抗体が、この子をコロナの発症から守ってくれると思うと、うれしいプレゼントができたと思います」「判断材料の一つとして、最終的には自分の気持ちにしっくりいく判断をしていただくしかないと思います」
赤ちゃんに移行した抗体の持続性や予防効果はまだわかっておらず、研究チームは今後も追跡調査を続け、妊婦への影響とあわせて調べるとしています。
■アストラゼネカのワクチン スペインで接種再開
一方、325万人以上が感染したスペイン(スペイン感染者325万5324人、死者7万5010人/米ジョンズ・ホプキンス大 29日午後4時時点)。
駐車場に並ぶ車の列。市民が車の窓から腕を出し、ワクチン接種を受けています。投与されているのは、これまで接種後に血栓ができる症例が報告されていることを受け、ヨーロッパの一部の国で接種が見送られていたアストラゼネカのワクチン。24日、スペインではEU(=ヨーロッパ連合)の医薬品規制当局が「安全で効果的」と調査結果を出したことを受け、アストラゼネカのワクチン接種の再開を指示しました。
アストラゼネカのワクチン接種を受けた市民「ワクチンに不安はありません。何か月もパンデミック(感染爆発)に苦しみました。これは第一歩です」
アストラゼネカのワクチンは、スペイン国内でこれまでに約100万回投与されたということです。
■ほとんどマスクなし…パキスタン伝統のお祭り
顔や体をカラフルに染め合う女性たち。これは、パキスタンで行われたヒンズー教のお祭り「ホーリー祭」の一コマです。密集した中で行われた伝統のお祭り。ほとんどの人はマスクをしていませんでした。
参加者「ホーリー祭は、善が悪に勝ったことを祝うもので、全世界に前向きで幸せなメッセージを与えます。新型コロナが早く収束することを祈っています」
パキスタンでは変異ウイルスの流行などで感染者が増加傾向にあり、累計の感染者数は65万人以上となっています(パキスタン感染者65万9116人、死者1万4256人/米ジョンズ・ホプキンス大 29日午後4時)。
■僧侶が音を鳴らし…カンボジアの“感染対策”
感染が急拡大している東南アジア・カンボジアの寺院(カンボジア感染者2233人、死者10人/米ジョンズ・ホプキンス大 29日午後4時時点)。僧侶が大きな金色の銅鑼(どら)をたたく姿が…。実はこれ、首相の指示で行われている新型コロナ対策なんです。1日に5回、銅鑼や太鼓の音を響かせ、国民に対し、感染拡大の警鐘を鳴らしているということです。
■外出制限前日…市場には行列 フィリピン
一方、72万人以上が感染したフィリピン(フィリピン感染者72万1892人、死者1万3170人/米ジョンズ・ホプキンス大 29日午後4時時点)。28日、首都・マニラの市場には長い行列ができていました。
入場制限が行われた市場。マニラなどで29日から厳しい外出制限措置が行われることになり、その前日に食料品や日用品を買いだめしようと大勢の人が集まったのです。
主婦「買い置きがなくなり、明日からまた外出制限です。だから家から出なくていいように(今日)買い物に来たんです」
今回の外出制限措置は最も厳しいレベルで、午後6時から翌朝5時までの外出も禁止されます。
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世界では、1億2719万人以上が感染し、278万人以上が亡くなっています(世界感染者1億2719万3668人、死者278万4153人/米ジョンズ・ホプキンス大 29日午後4時時点)。