ハマスが住民“虐殺”も……ガザ侵攻「不可避」か 専門家「がれきの山になるまでたたく」 欧米はイスラエルの報復を事実上容認
イスラム組織「ハマス」が実効支配するパレスチナ自治区「ガザ地区」などを巡り、民間人が巻き込まれる形で事態が悪化しています。ハマスの大規模攻撃に対するイスラエル側の報復はいつまで続くのでしょうか。今後の行方について専門家に聞きました。
有働由美子キャスター
「イスラエル軍が、ハマスによって100人以上の住民が虐殺されたという集落を公開しました。イスラエルもガザへの電気や水などを遮断すると発表し、どちらも民間人が巻き込まれる形で事態が悪化しています。今後どうなっていくことが考えられるでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「中東情勢に詳しい慶応義塾大学の田中浩一郎教授は『イスラエルは徹底的に反撃し、ガザががれきの山になるまでたたくだろう』と話します」
「また『ハマスは手持ちのロケット弾などを撃ち尽くしたり、破壊されたりしたら、もう次の手がない。イスラエルが地上侵攻して市街戦になることは避けられない』と田中教授は見通しています」
有働キャスター
「どこか停戦を働きかける国や国際機関はないのでしょうか?」
小栗委員長
「田中教授は『ハマスが仕掛けた攻撃があまりにも無謀な奇襲攻撃で、アメリカ国民などにも犠牲が出ていることから、欧米各国はイスラエルに対して直接的にストップをかけるような言葉を使っていない』と指摘します」
「今回の攻撃を『特殊で、一方的なテロ』と位置づけ、イスラエルによる報復を事実上認めているといいます」
有働キャスター
「ハマスも報復があることは分かっていたはずですよね」
小栗委員長
「その点、田中教授は『ある種ハマスにとっては計算外だったのではないか』とみています。『思っていた以上の戦果を収めてしまったため、報復をどう治めるのか、後々の始末がしにくくなってしまった側面もあるのではないか』と話します」
小栗委員長
「一方、イスラエルの新聞によると、事前にエジプトから、ガザの動きに注意するようにという警告を受けていたにもかかわらず、イスラエルのネタニヤフ首相が取り合わなかったという報道もあります」
「イスラエル首相府は、こうした警告の存在を否定していますが、もしかしたらネタニヤフ首相がハマスを徹底的につぶすお墨付きを得るために、あえて放置してハマスに攻撃させたなどという憶測を呼ぶことになるかもしれません」
有働キャスター
「今後どうなっていくのか、注目すべきことは?」
小栗委員長
「田中教授は『アメリカが、そろそろ報復もやり過ぎになってしまうというタイミングをいつと読むか、収束に向けた声明をいつ出すかがポイントだ』と指摘しています」
「ただ、バイデン政権の外交政策は不安定で読みづらく、双方に多くの犠牲が出ることは避けられなさそうです」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「人質や暴力的な映像がSNSでも多く流れてきて、私自身ショックを受ける気持ちもありますし、不安に感じていらっしゃる方も多いのではないかと思います」
「前提としてテロは絶対悪で許されないという姿勢を示す必要は確かにあると思います。ただ一方で、その報復によって罪のない民間人を巻き込んでいくことも、同様に許されないことだと思います」
「この2つは二項対立ではなく、民間人の犠牲を出しているという点においては、ハマスだけではなくイスラエルも罪深いのではないかなと思います」
有働キャスター
「1000人を超えていた双方の犠牲者が、11日はもう2000人と、どんどん犠牲者が増えています。まだまだ増えることが分かっているのに、止めることができないこの無力さ。せめて人道支援が届くように、そこは何とかしてほしいです」
(10月11日『news zero』より)