“元徴用工”訴訟 三菱重工業が再抗告
韓国のいわゆる元徴用工の関連訴訟で被告になっている三菱重工業は、今年2月に退けられた資産の差し押さえ手続きの差し止めを求め再抗告を行いました。
この裁判は、戦時中に過酷な労働を強いられたとして元挺身隊員らが三菱重工業に損害賠償を求めたもので、2018年に韓国の最高裁で三菱重工業に賠償を命じる判決が確定しました。このため、韓国国内では三菱重工業が保有する資産を差し押さえる手続きが進んでいますが、三菱重工業側は手続きを差し止めるため去年12月に即時抗告していました。
これについて大田地裁は今年2月、三菱重工業側の即時抗告の一部を棄却。そのため三菱重工業は、今月10日付で、韓国の裁判所に対し差し押さえ手続きの差し止めを改めて求める「再抗告」を行いました。三菱重工業側は「1965年の日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決され、いかなる主張もできなくなったと理解している。政府間のやりとりの現状なども踏まえ再抗告した」とコメントしています。
いわゆる元徴用工訴訟をめぐっては、日本製鉄を被告とする裁判でも資産の「現金化」に向けて司法手続きが進み、日韓両国の懸案となっていますが具体的な解決の道筋は見いだせていません。
また、今月28日には元徴用工や遺族らが三菱マテリアルや三井金属鉱業など17社に対して、損害賠償を求めた別の裁判の弁論も予定されています。